■n次元平行多面体数(その50)

 2次方程式の解の公式は9世紀には既に知られていた.3次方程式と4次方程式の解の公式は16世紀前半に発見された.当然ながら,次のターゲットは5次方程式の解の公式であった.

 ガロアは解の公式を探すのではなく,方程式の解を有理数に添加した数体の対称群を調べることで,解についての重要な情報を引き出すことに成功した.それによると2次方程式,3次方程式,4次方程式に対してはガロア群はつねに可解群であり,そのため,解の公式を書き下すことができる.しかし,5次方程式以上では可解群ではないため,解の公式は存在しない.

 5つの解をもつ5次方程式でが,ガロア群は5数についての置換すべてからなる群であるから,ガロア群は120の元から構成される.2次方程式,3次方程式,4次方程式ではそれぞれ2つ,3つ,4つの解の置換であり,2,6,24の元から構成される.

 3次元,4次元で重複を生じるのは頂点数(ファセット数)が6,24の正多面体があることと関係していると思われる.4次元で頂点数(ファセット数)が120の多面体はあるが,5次元では存在しない.

 すなわち,

  {3,4}(100)={3,3}(010)

  {3,4,3}(1000)={3,3,4}(0100)

右辺は辺の中点切頂多面体である.

 そして,nが5以上では

  n!>3^n−1

が成り立つので,重複が存在しないのだと考えられるのである.

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