■n次元平行多面体数(その26)

 (その26)で示したように,菱形十二面体の二面角はすべて120°,菱形三十面体の二面角はすべて144°です.菱形二十面体にはa5,a3o1,o3の頂点がありますから,そこでの二面角は144°と108°です.菱形十二面体(第2種)ではa5はなくなりますが,a4とa1o2が加わりますから,さらに112.456°と72°を生じます.

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【1】菱形多面体の頂点と二面角

 菱形の鋭角(acute)m個と鈍角(obtuse)n個が集まる頂点をamonで表すことにすると,菱形の鋭角と鈍角の和は

  a+o=180°

ですから,頂点に4つ以上の鈍角が集まることは不可能です.頂点に集まる角がすべて鈍角である場合はo3で,菱形の鈍角が120°より小さいことが必要になります.

 o=120°(a=60°)の菱形では平面充填形となってしまいますから,o3を有する菱形多面体の面は,正三角形を2個つなげた菱形(対角線の長さの比が1:√3)よりも太っていることが必要で,黄金比や1:√2の菱形などがその候補となるというわけです.

 また,この菱形(鋭角が60°より大きい)が頂点に集まる角がすべて鋭角である場合は最大1頂点に5枚ですから,a3またはa4またはa5ということになります.また,鈍角と鋭角が混ざっている頂点がある場合,a+o=180°ですから,a1o1,a2o2は存在し得ず,a3o1,a2o1,a1o2のみが可能となります.

 実際には

  扁長菱面体:a3=2,a1o2=6

  扁平菱面体:a2o1=6,o3=2

  菱形十二面体:a4=6,o3=8

  菱形十二面体(第2種):a4=2,a3o1=4,a1o2=4,o3=4

  菱形二十面体:a5=2,a3o1=10,o3=10

  菱形三十面体:a5=12,o3=20

のようになっています.

 菱形三十面体からあるゾーン(菱形の連なった帯)を抜き取って押しつぶすと菱形二十面体,菱形二十面体からあるゾーンを抜くと菱形十二面体(第2種)になるので,これらは各面の対角線の長さの比が黄金比の菱形からなる一連のゾーン多面体と考えることができます.菱形30面体→菱形20面体の過程でいくつかのa5は保持されるのですが,菱形20面体→菱形12面体(第2種)の過程ですべて消失してしまいます.そして,4個のo3だけが最後まで遺残します.

       黄金菱面体    白銀菱面体    

  頂角 63.4350 70.5288

  a3 72 75.5227

  a2o1 36,144 60,120

  a1o2 72,108 75.5227,104.477

  o3 144 120

  a4 112.456 120

  a3o1 108,144 ×(124.101,144.16)

  a5 144 ×(164.478)

 a3とa1o2,o3とa2o1では同じ二面角が出現していますが,黄金菱面体ではさらにa5とa3o1,o3,a2o1が同じになります.

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