■正四面体立体らせん(その4)

 先日,千葉工大で開催された「形の科学会」に参加.私の発表は「高次元離散幾何学」に関するもので,難しすぎるせいか相変わらず受け入れられなかったが,一刻も早くリバイスを済ませて,再投稿する予定である.

 ところで,正四面体の面と面を接合して三角形面からなる捻れた柱を作ることができる.当該の正四面体立体らせんは,形の科学会では,Boerdijk-Coxter helixと呼ばれていて,それをk連結して実際に転がしてみる.連結数が増えると慣性力が増し,停止するまでの転がり距離が大きくなる.

 kがある値のとき,とりわけよく転がるようなマジックナンバーが存在すると面白いのだが,転がり距離は単調増加し,やがて頭打ちになるようだった.

 この多面体の稜線は立体らせんを描く.立方体では単独で,正八面体,正12面体,正20面体では2連結で周期構造になるが,正四面体立体らせんでは葉序のようにねじれ角が無理数のため,周期構造にはならない.正八面体の単純なマスト構造と正四面体の捻れたマスト構造にどのような差が出るのかについては論じられていなかったが,この装置は何らかの巻き取り装置に応用できるかもしれないので,実際に試行するのも面白いと思われた.

===================================

[雑感]正四面体立体らせんは三重らせん,DNAは二重らせんであるから単純に比較することはできないが,DNAは10塩基で一巻きするから,1塩基あたりのねじれ角は36°となる.

===================================