■素数定理とエラトステネスのふるい(その19)

 ユークリッド整域は,ある数体系内で,除法

  α=β・γ+δ,|δ|<|β|

は可能かという問題ですが,単項イデアル整域(PID)は素因数分解の一意性が成り立つかどうかという問題です.

 前者は数論幾何学的に計算できるのでわかりやすいが,それに比べ,後者はわかりづらい代物である.しかし,後者でも

  0<a<2√(d/3),−a/2<b<a/2  (a^2/4>b^2)

を満たすイデアル(a,b+√−d)が存在して,その個数は4d/3未満であるという幾何学的名構造は存在する.そして,イデアル類群の位数を類数と呼ぶ.

[1]ユークリッド整域ならばPIDである.しかし,逆は成り立たない.PIDはユークリッド整域とは限らないのである.

[2]したがって,Z(√−1),Z(√−2)はPIDであるが,Z(√−d),d>2はPIDとは限らないことになる.実はZ(√−d),d>2は決してPIDとにならないのである.

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