■素数定理とエラトステネスのふるい(その18)

 二次曲線ax^2+by^2=cのグラフは円錐曲線ですが,この方程式が有理数解を1つもてば,実は無数のもつことを示すことができます.たとえば,方程式x^2+y^2=1には,無限に多くの有理数解(3/5,4/5),(5/13,5/12),(12/37,35/37)など・・・が存在します.

 半径が√2の円,x^2+y^2=2は(1,1)より,無限に多くの有理数解をもつのですが,半径が√3の円,x^2+y^2=3になると有理点は全くなってしまいます.2次曲線は有理点を無限のもつか、1つももたないかのどちらかなのです.

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 (その11)のまとめですが,pを素数として,p=x^2+y^2を満たす整数x,yが存在するための必要十分条件は

  p=1(mod4)またはp=2

であることは有名です.

 たとえば,半径が√5の円,x^2+y^2=5は(1,2)より,無限に多くの有理数解をもつのですが,半径が√7の円,x^2+y^2=7では,

[5]x^2+y^2=7z^2をみたす整数(x,y,z)は存在しない

(証)x,y,zはどの2つの互いに素と仮定してよい.4n+3の数はa^2+b^2の形にならないことは簡単に示すことができる.

  a=4k   → a^2=0  (mod 4)

  a=4k+1 → a^2=1  (mod 4)

  a=4k+2 → a^2=0  (mod 4)

  a=4k+3 → a^2=1  (mod 4)

したがって,a^2+b^2を4で割ったときの余りは0+0,0+1,1+0,1+1,7z^2を4で割ったときの余りは0,3にしかならないので,この主張が示されました.

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 楕円の場合はどうでしょうか?

[6]2x^2+3y^2=z^2をみたす整数(x,y,z)は存在しない

  2x^2=0,2  (mod4)

  3y^2=0,3  (mod4)

  2x^2+3y^2=0,1,2,3  (mod4)

  z^2=0,1  (mod4)

 互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れません.

  a=3k   → a^2=9k^2

  a=3k+1 → a^2=9k^2+6k+1

  a=3k+2 → a^2=9k^2+12k+4

より,a^2を3で割ったときの余りは0か1になります.0になるのはaが3の倍数のときです.

 b^2に対しても同じことが成り立ちますから,a^2+b^2を3で割ると,余りは0+0,0+1,1+0,1+1にしかなりません.0+0はaもbも3の倍数であることに対応していて,仮定に反します.

  2x^2=0,2  (mod3)

  3y^2=0    (mod3)

  2x^2+3y^2=0,2  (mod3)

  z^2=0,1  (mod3)

x,y,zはどの2つの互いに素と仮定してよいので,この主張が示される.

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