■パラメータ解? (その38)

 Q(√−6)の類数を求めてみると

 Q(√-6)の判別式-24,ω=2.

(-24/n)=+1となるのはn=1,5,7,11(mod24)

(-24/n)=-1となるのはn=13,17,17,23(mod24)

h=-2/2|-24|(1+5+7+11-13-17-19-23)=2

 こうしてQ(√−6)は類数2の虚2次体であることがわかりました.h=1なる虚2次体Q(√d)は

  −d=1,2,3,7,11,19,43,67,163

しかないというのが,有名な「ベイカー・スタークの定理」です.1966年,ベイカーとスタークは独立に類数1の虚2次体Q(√d)すなわち(d<0,dは平方因子をもたない)なる2次体をすべて決定したのです.

 類数1をもつというのは,Q(√d)のすべてのイデアルが単項であること,すなわち,2次体Kのすべての代数的整数が,Kの素数の積として表され,その表現が単数(1の約数となる整数)を無視して,一意であることをいいます.

 別の言葉でいうと,イデアルと数のずれがないということですが,類数とはすべての数体に付随した不変量(自然数)であって,たとえば,有理数体Qは類数1をもち,ガウスの数体Q(i)も類数1をもちます.類数1をもつ数体はQと類似した数論的性質をもつのですが,大きな類数をもつ数体はQとかなりかけ離れた性質をもっているというわけです.

 ついでながら,h=2なる虚2次体Q(√d)は,

  −d=5,6,10,13,15,22,35,37,51,58,91,115,123,187,235,267,403,427

の18個あります.

 類数1の虚2次体Q(√d)は有限個しかないのに対して,類数1をもつ実2次体は無限に多く存在すると予想されています.

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