■パラメータ解? (その36)

 (その35)において,[1]の場合,(p)=N(P)を満たす素イデアルが存在するが,Pは単項イデアルとは限らない.たとえば,

  (3)=(3,1+√−5)(3,1−√−5)

では,3=a^2+5b^2を満たす(a,b)は存在しないが,

  (29)=(3+2√−5)(3−2√−5),39=3^2+5・2^2

のようにpが2つの単項イデアルの積になることもある.

 与えられたイデアルはいつ単項イデアルの積であり,いつ積でないのか? そして,イデアル類群の位数を類数と呼ぶ.

===================================

 判別式の絶対値|D|が50以下の2次体Q(√d)をあげてみましょう.まず,

  d=2,3(mod4) → D=4d

  d=1(mod4)   → D=d

ですから,

  d=4n+1   → |d|≦50

  d=4n+2,3 → |d|≦12

 また,dは0,1以外の平方因数をもたない整数でなければなりませんから,4の倍数,9の倍数,16の倍数,25の倍数,36の倍数,49の倍数を除外すると,

  −1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,

  ±11,±13,±14,±15,±17,±19,

  ±21,±22,±23,±26,±29,±30,

  ±31,±33,±34,±35,±37,±39,

  ±41,±43,±46,±47

 これらのなかで,

  d=4n+1   → |d|≦50

  d=4n+2,3 → |d|≦12

という条件を満たすのは

  −1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,±11,

  13,17,21,29,33,37,41,

  −15,−19,−23,−31,−35,−39,−43,−47

になります.

===================================

【1】ディリクレの類数公式

 Q(√m)の判別式をD,χ=(D/a)をディリクレ指標とするとき,類数hは次のように与えられます.

[1]m<0のとき(虚2次体)

  h=−ω/2|D|Σχ(a)a

 ここで,ωは単数の個数で

  m=−3のとき,ω=6(±1,±ω,±ω^2)

  m=−1のとき,ω=4(±1,±i)

  それ以外のとき,ω=2(±1)

となります.

 以下,虚2次体類数の計算例を掲げます.

(1)Q(√−1):h=1

D=−4,ω=4,

χ(a) =(−4/a)=+1   a=1

          =−1   a=3

h=−4/2|−4|(1・1+(−1)・3)=1

(2)Q(√−2):h=1

D=−8,ω=2,

χ(a) =(−8/a)=+1   a=1,3

          =−1   a=3,7

h=−2/2|−8|(1・1+1・3+(−1)・5+(−1)・7)=1

(3)Q(√−3):h=1

D=−3,ω=6,

χ(a) =(−3/a)=+1   a=1

          =−1   a=2

h=−6/2|−3|(1・1+(−1)・2)=1

(4)Q(√−5):h=2

D=−20,ω=2,

χ(a) =(−20/a)=+1   a=1,3,7,9

           =−1   a=11,13,17,19

h=−2/2|−20|(1・1+1・3+1・7+1・9+(−1)・11+(−1)・13+(−1)・17+(−1)・19)=2

===================================