■空間充填18面体と4軸構造(その5)

 この空間充填18面体は重三角錐Aと2つのねじれ重三角錐B,Cのintersectionとしてできている.基本的な解析ツールが出揃ったところで,今回のコラムでは4軸構造を規準としてねじれ重角錐Cを計量することにした.

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【1】ねじれ重角錐Cの計量

 円柱の中心軸ベクトルPi=tAi+Biはそれぞれ

  P1=[t/√3,t/√3,t/√3]

  P2=[−t/√3,t/√3+d/√2,t/√3−d/√2]

  P3=[t/√3−d/√2,−t/√3,t/√3+d/√2]

  P4=[t/√3+d/√2,t/√3−d/√2,−t/√3]

と表される.

 (その3)では接点の空間座標と平面座標を求めたが,ts=−d√(3/2),te=d√(3/2)として,接点を挟む2端点に対応する空間座標を求めると

  P2s=d/√2[1,0,−2]

  P2e=d/√2[−1,2,0]

  P3s=d/√2[−2,1,0]

  P3e=d/√2[0,−1,2]

  P4s=d/√2[0,−2,1]

  P4e=d/√2[2,0,−1]

となる.

 また,AiとAjの両方に直交するベクトルBij,その大きさをdで定めると

  B23=d/√2[1,1,0]

  B34=d/√2[0,1,1]

  B42=d/√2[1,0,1]

となるが,

  B23=P2e−P3s

  B34=P3e−P4s

  B42=P4e−P2s

という関係があることはすでにわかっている.

 ねじれ重角錐Cの計量の計量のためには,P1の2端点P1s,P1eを求める必要があるのだが,2面角が120°であるという条件を使わずに線形結合を利用して求めてみよう.すなわち,

  P2=tA2+B2

  P2+uB42=vP1

より,

  −t/√3+ud/√2=v/√3

  t/√3+d/√2=v/√3

  t/√3−d/√2+ud/√2=v/√3

 これはt,u,vに関する3元1次連立方程式であって

  (t,u,v)=(d√(3/2)/2,2,3d√(3/2)/2)

となる.したがって,

  P1s=[−3d/2√2,−3d/2√2,−3d/2√2]

  P1e=[3d/2√2,3d/2√2,3d/2√2]

 ここで,仮にd=30√2とおくと

  P1e=[45,45,45]

  P2e=[−30,60,0]

  P3e=[0,−30,60]

  P4e=[60,0,−30]

となり,ねじれ重角錐Cの計量は4軸構造と完全に一致することがわかる.

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【2】切頂ねじれ重角錐による概空間充填

 ねじれ重三角錐Cは2つの正三角錐とねじれ重三角錐台に3分割して作るしかないと思われたのだが,それでもかなり複雑な形をしていることは間違いない.そこで,3回回転対称性を有する多面体であることを利用して,切頂ねじれ重角錐を作ってもらうことになった.

 以下,中川宏さんによるP1s,P1eの頂点を切頂したねじれ重角錐による概空間充填の写真を掲げる.

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