この空間充填18面体は重三角錐Aと2つのねじれ重三角錐B,Cのintersectionとしてできている.基本的な解析ツールが出揃ったところで,今回のコラムでは4軸構造を規準としてねじれ重角錐Cを計量することにした.
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【1】ねじれ重角錐Cの計量
円柱の中心軸ベクトルPi=tAi+Biはそれぞれ
P1=[t/√3,t/√3,t/√3]
P2=[−t/√3,t/√3+d/√2,t/√3−d/√2]
P3=[t/√3−d/√2,−t/√3,t/√3+d/√2]
P4=[t/√3+d/√2,t/√3−d/√2,−t/√3]
と表される.
(その3)では接点の空間座標と平面座標を求めたが,ts=−d√(3/2),te=d√(3/2)として,接点を挟む2端点に対応する空間座標を求めると
P2s=d/√2[1,0,−2]
P2e=d/√2[−1,2,0]
P3s=d/√2[−2,1,0]
P3e=d/√2[0,−1,2]
P4s=d/√2[0,−2,1]
P4e=d/√2[2,0,−1]
となる.
また,AiとAjの両方に直交するベクトルBij,その大きさをdで定めると
B23=d/√2[1,1,0]
B34=d/√2[0,1,1]
B42=d/√2[1,0,1]
となるが,
B23=P2e−P3s
B34=P3e−P4s
B42=P4e−P2s
という関係があることはすでにわかっている.
ねじれ重角錐Cの計量の計量のためには,P1の2端点P1s,P1eを求める必要があるのだが,2面角が120°であるという条件を使わずに線形結合を利用して求めてみよう.すなわち,
P2=tA2+B2
P2+uB42=vP1
より,
−t/√3+ud/√2=v/√3
t/√3+d/√2=v/√3
t/√3−d/√2+ud/√2=v/√3
これはt,u,vに関する3元1次連立方程式であって
(t,u,v)=(d√(3/2)/2,2,3d√(3/2)/2)
となる.したがって,
P1s=[−3d/2√2,−3d/2√2,−3d/2√2]
P1e=[3d/2√2,3d/2√2,3d/2√2]
ここで,仮にd=30√2とおくと
P1e=[45,45,45]
P2e=[−30,60,0]
P3e=[0,−30,60]
P4e=[60,0,−30]
となり,ねじれ重角錐Cの計量は4軸構造と完全に一致することがわかる.
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【2】切頂ねじれ重角錐による概空間充填
ねじれ重三角錐Cは2つの正三角錐とねじれ重三角錐台に3分割して作るしかないと思われたのだが,それでもかなり複雑な形をしていることは間違いない.そこで,3回回転対称性を有する多面体であることを利用して,切頂ねじれ重角錐を作ってもらうことになった.
以下,中川宏さんによるP1s,P1eの頂点を切頂したねじれ重角錐による概空間充填の写真を掲げる.
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