■和算にまなぶ(その55)

[1]三角形についての等式

 任意の三角形に対して

  tanα+tanβ+tanγ=tanαtanβtanγ

  sinα+sinβ+sinγ=4cosα/2cosβ/2cosγ/2

  sin2α+sin2β+sin2γ=4sinαsinβsinγ

  sin3α+sin3β+sin3γ=−4cos3α/2cos3β/2cos3γ/2

  cosα+cosβ+cosγ=1+4sinα/2sinβ/2sinγ/2

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[2]三角形についての不等式

 鋭角三角形ならば,算術平均≧幾何平均より

  tanα+tanβ+tanγ≧33√tanαtanβtanγ

前項より,

  tanαtanβtanγ≧33√tanαtanβtanγ

したがって,

  tanαtanβtanγ≧√27=3√3

であるから,

  tanα+tanβ+tanγ≧3√3   (等号は正三角形のとき)

を容易に証明することができる.

 同様に

  sinαsinβsinγ≦3√3/8

なお,この不等式は三角形の外接円,内接円および面積をR,r,△とすれば,

  abc=4R△,(a+b+c)r=2△

また,正弦法則

  a/sinα=b/sinβ=c/sinγ=2R

より,

  abc≦3√3R^3

と同値である.

 また,△ABC内の1点をP,面積を△とすると,

  AP+BP+CP≧2√((√3)△)

等号は△ABCが正三角形で,Pが重心のときに限る.

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