■n次元平行多面体数(その4)

 平行多面体数の上限はほぼ決定できたが,あとは実際に構成可能かを調べるしかないと思われる.代数曲線の数え上げの場合について見てみたい.

[Q]変えても互いに他に還元できない5次(n次)曲線の型は何種類あるか?

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 2次曲線の分類については,3種類の円錐曲線,すなわち楕円,双曲線,放物線になりますが,同じことをもっと高次の曲線・曲面に対して考えるのは自然なことでしょう.

 3次曲線の分類には,2次曲線とは異なった種類の難解さが要求されましたが,ニュートンはあらゆる場合を考察して,最終的に軸を変えても互いに他に還元できない3次曲線は全部で78種類が必要であることを示すに至り,さらに3次曲線の一般式が5個の標準形に帰することを示しました.(ニュートンはこのうち72種を見つけていた).

 ニュートンの3次曲線の分類に引き続いて,オイラーは4次平面曲線の分類を企てましたが,可能な場合の数が非常に多いという理由で断念しています.この問題に対する答えは長い間知られていなかったのですが,プリュッカーが19世紀に軸を変えても互いに他に還元できない4次曲線の152の型を数え上げることによって解かれました.

 また,一直線上にない3点を通る2次曲線,4点を通る3次曲線はただひとつ存在しますが,それは座標軸の方向が定まっている場合:

  y=ax^2+bx+c,y=ax^3+bx^2+cx+d

のようにy=f(x)の場合であって,一般には,平面上の任意の位置にある5点が唯一の円錐曲線を決定します.ニュートンは「プリンキピア」のなかで5点を通る円錐曲線の作図法などを案出しながら壮大な天体力学を展開しています.

 n次平面代数曲線の方程式f(x,y)=0は,(n+1)(n+2)/2個の係数をもっていますが,fに定数を掛けても曲線は変わりませんから,n次曲線はn(n+3)/2個のパラメータに依っていることになります.そこで,平面内に与えられたn(n+3)/2個の点(xi,yi)を通るという条件によって曲線を決定するという問題が自然に提起されます.ニュートンはこうした研究を応用して,2次曲線上の5点,3次曲線上の7点が与えられた場合にこれを作図する方法を見いだしたのです.

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