■モーリーの定理(その2)

 ユークリッドは3つの角を2等分することで内心を見つけたのですが,モーリーは3つの角を3等分するとどうなるかを問題にして,モーリーの定理「任意の三角形において,各内角の3等分線の隣同士の交点を結んで得られる三角形は正三角形である」を発見しました(1899年).1899年まで誰一人としてこの正三角形の存在に気づかなかったのです.

 モーリーは(各内角の3等分線でなく)三角形に内接するカージオイドの研究する過程で,この定理を発見しました.カージオイドの中心は正三角形を描き,中心が正三角形の頂点のとき,4点で接することがわかっています.

 モーリーの三角形の1辺の長さは,

  8R・sinα/3・sinβ/3・sinγ/3

で与えられます.

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[おまけ]

(1)sinαsinβsinγ≦3√3/8

 極大値を計算すると,3√3/8が得られる.なお,この不等式は三角形の外接円,内接円および面積をR,r,△とすれば,

  abc=4R△,(a+b+c)r=2△

また,正弦法則

  a/sinα=b/sinβ=c/sinγ=2R

より,

  abc≦3√3R^3

と同値である.

(2)sinαsinβsinγ≦(3√3/2π)^3αβγ

 このことから,三角形のブロカールの角ωが,

  8ω^3<αβγ

を満たすことが証明できる.

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