■ネクタイの結び方数(その2)

 2010年に東京で開催された形の科学会で一番印象に残った講演は「ネクタイ」に関するものであった.その原因は何か,あるいは,ネクタイの最適な形とはどのようなものかなど,日常のありふれた問題を大人たちが小さな教室に会して真剣に討論するのであるから,この学会の象徴的なシーンといってよいであろう.

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 ネクタイの太い方を長めに,細い方を短めになるようにして襟にかけてネクタイを結ぶが,1回でしっくりと結ばれることは少ない.毎日,ネクタイをしているサラリーマンであってもそうなのである.

 その原因は結ぶ前の長さの差と結んだあとの長さの差が線形な関係にならないからだそうである.結んだあとの長さの差がほぼ0となる位置に収まるようにするのがネクタイの最適な形というわけである.

[参]元広友美「複数回の折り畳みにおける形に起因する非線形性について,のよるセミウィンザーノットによるネクタイ結び」,形の科学会誌第25巻

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