■シンク積分とフレネル積分(その6)

【1】クロソイド

 クロソイド曲線は

  x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ

  y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ

で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.

 その曲率半径は1/s(曲率はs)である.sは弧長であるから,曲線に沿って原点から遠ざかるにつれて,一定値sで曲率は大きくなることがわかる.

 等速で走行しながら一定の速度でハンドルを切ると,車の奇跡はクロソイド曲線を描く.高速道路において直線区間と円弧区間の境目では急激なハンドル操作は車を不安定な状態に陥らせる.そのため,直線区間と円弧区間を緩和曲線と呼ばれる曲率が緩やかに変化する曲線でつながれるのである.

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【2】フレネル積分

 クロソイド曲線は

  x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ

  y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ

で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.

  ∫(0,∞)sin√x/xdx=?

において,y=√xとおくと,dx=2ydyより

  ∫(0,∞)siny/y^2・2ydy=2∫(0,∞)siny/ydy=π

となる.しからば

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=?

というのがここでの問題である.

 y=√xとおくと

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=∫(0,∞)siny^2/y・2ydy=2∫(0,∞)siny^2dy

はフレネル積分の特殊値となり,x→∞の極限は

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=√(π/2)

になる.

 結論を先にいってしまったが,披積分関数をべき級数に展開したのち,項別に積分すると,次の展開式が得られるという.

  (∫(0,∞)sinx/√xdx)^2=Σ(2k)!/2^2k(k!)^2・1/(2k+1)

  =Π4k^2/(4k^2-1)=π/2

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【3】広義ディリクレ積分の収束性

[1]α,βが正の定数でα>β−1を満たすとき,広義積分

  ∫(0,1)sinx^α/x^βdx=?

が収束することを示す.

 x→0のとき,sinx/x→1であるから,ある定数C1,C2があって

  C1≦sinx/x≦C2

が成り立つ.ゆえに

  C1x^(α−β)≦sinx^α/x^β≦C2x^(α−β)

  C1∫(h,1)x^(α−β)dx≦∫(h,1)sinx^α/x^βdx≦C2∫(h,1)x^(α−β)dx

 β−α<1より,h→0の極限をとると,hについて単調減少で下に有界であるから,当該の広義積分は存在し,値はC1∫(0,1)x^(α−β)dxとC2∫∫(0,1)x^(α−β)dxの間にある.

 とくに,α=1,0<β<2とすれば,広義積分

  ∫(0,1)sinx/x^βdx=?

は収束する.したがって,β=1/2

  ∫(0,1)sinx/√xdx=?

が存在する.

 y=√xと変数変換すると

  ∫(0,1)sinx/√xdx=∫(0,1)siny^2/y・2ydy=2∫(0,1)siny^2dy

になる.

[2]βが正の定数のとき,広義積分

  ∫(1,∞)sinx^α/x^βdx=?

が収束することも示すことができる.

 [1],[2]を併せると,フレネル積分

  S(∞)=∫(0,∞)sin(πt^2/2)dt

の収束は保証されたことになる.

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