■シンク積分とフレネル積分(その2)

【1】シンク積分

  ∫(0,t)sint/tdt

の披積分関数をべき級数に展開したのち,項別に積分すると,

  x−x^3/3・3!+x^5/5・5!−・・・

が得られる.正弦積分とは,

  Si(x)=∫(0,t)sint/tdt

として定義される特殊関数(初等関数によって表し得ない関数)である.

 また,その特殊値

  Si(∞)=∫(0,∞)sint/tdt=π/2

はディリクレ積分とも呼ばれる.

  ∫(0,∞)sinx/xdx=π/2

はよく知られていて,複素積分などを用いて求めることができる.

===================================

【2】フレネル積分

  ∫(0,∞)sin√x/xdx=?

において,y=√xとおくと,dx=2ydyより

  ∫(0,∞)siny/y^2・2ydy=2∫(0,∞)siny/ydy=π

となる.しからば

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=?

というのが今回の問題である.

 y=√xとおくと

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=∫(0,∞)siny^2/y・2ydy=2∫(0,∞)siny^2dy

はフレネル積分の特殊値となり,x→∞の極限は

  ∫(0,∞)sinx/√xdx=√(π/2)

になる.

 結論を先にいってしまったが,披積分関数をべき級数に展開したのち,項別に積分すると,次の展開式が得られるという.

  (∫(0,∞)sinx/√xdx)^2=Σ(2k)!/2^2k(k!)^2・1/(2k+1)

  =Π4k^2/(4k^2-1)=π/2

===================================