■ジップの法則・パレートの法則(その1)

 ほぼ100年前の経済学者パレートは個人所得の多い順にならべて,1,2,3,・・・と順位をつけその順位を横軸に,縦軸には所得高をとると双曲線様のパワー曲線が描けることを見つけました.すなわち,Nをx以上の所得を有する人の数とするとN=1/x^aとなるという法則です.

 個人所得高の分布がパレート分布なのですが,同様のパワー則(power law)は経済学分野のみならず,いろいろな分野で見いだされていて,例えば,

[1]社会学における都市人口の分配法則(人口の多い順に都市をならべ,その順位を横軸,縦軸には人口ととると双曲線ができる)

[2]言語学におけるパワー則(ある言語の単語を出現頻度順にならべるとその出現確率は簡単な双曲線則にしたがう)など,これらを総称してジップの法則といいます.

 また,このようにして導かれた連続分布をパレート分布と呼びます.パレート分布は,経済学者にとっては60年以上昔から知られていて,人文科学領域のみならず,熱力学的解析などにも応用されてきました.また,パレート分布の逆数の分布がべき乗分布です.

 パレート分布は連続分布ですが,導出された起源を考えると本来の姿は離散分布です.そこで,パレート分布を離散化すると,以下のようなゼータ分布(離散パレート分布)が得られます.

p(x)=[ζ(ρ+1)]-1x^-(ρ+1) x=1,2,3,...

μ's=ζ(ρ-s+1)/ζ(ρ+1)

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