■加減法(その4)

 20センチより少し長いストリップ(細長い紙)を2枚用意して0センチ,10センチ,20センチの位置にそれぞれ1,10,100と目盛る.次に30ミリ(0.3010),48ミリ(0.4771)の位置にそれぞれ2と3を目盛る.

 目盛りの1と2の間隔を2倍したところには4,3倍したところには8,4倍したところには16を目盛る.つまり,1と2,2と4,4と8,8と16の間隔は等しい.1と10,10と100も等間隔である.

 目盛りの1と3の間隔を2倍したところには9,3倍したところには27,さらに4倍したところには81を目盛る.1と3,3と9,9と27,27と81の間隔も等しい.

 70ミリの位置に5,78ミリの位置に6を目盛って同様のことをしてもよいが,当時,小学生の息子と九九のかけ算をしながら目盛りの位置を定め,紙正の計算尺を作って遊んだことがある.

 原理はわからないにせよ,1と2,2と4,4と8が等間隔の不思議なモノサシは小学生にとっても印象に残るものだっただろうと思う.

 計算尺ではlog10xの位置にxと目盛られている.そして,計算尺でかけ算をするとき,たとえば,2×3では目盛り2の位置に目盛り1を合わせ,目盛り3の位置にくる数字6を読みとることになる.かけ算を長さの足し算,割り算を長さの引き算に変換して計算しているのである.

  logxy=logx+logy

  logx/y=logx−logy

 計算尺の第一号は1620年代,英国のオートレッドによって作られた.狂いの少ない計算尺としては日本の竹製のもの,とくにヘンミ計算尺が有名であった.

 計算尺はいまでは過去のものになったが,コンピュータ出現までは最新鋭の計算機であった.私を含め,計算尺を使ったことのある世代の人はみな懐かしく思い出すに違いない.

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