■n角の穴をあけるドリル(その49)

 オアシスとは生け花に用いる吸水素材のことである.今回のコラムでは秋山仁先生の4角と6角の穴をあけるオアシスドリルを原型として,臼井和也氏(東北大学・金属材料研究所)が先端のドリル部分を交換すると3〜6角の穴をあけることのできるドリルを試作してくれたのでそれを紹介する.

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【1】プロトタイプ

 秋山先生オリジナルのルーローの三角形ドリルとオアシスにあけた穴の画像を掲載する.

 このドリルではユニバーサルジョイントを使ってルーローの三角形が四角い枠に沿って回転するようになっている.同じ定幅内転図形の原理を用いてルーローの五角形が六角の枠に沿って回転するタイプも作られているが,ドリル部分はネジでしっかりと固定されていて容易に交換できるような代物ではない.また,写真のオアシスドリルのパワーサプライは交流100Vをトランスで電圧を下げたものであるが,乾電池式動力源のタイプもある.

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【2】臼井氏による改良タイプ

 東北大学・金属材料研究所の臼井和也氏には2つの歯車を使ってドリルを回転させたとき,3〜6角の枠に沿って動くモデルを作ってもらったことがあるが,この歯車部分は市販品では入手できず特注品になってしまった.

 高価になることを避けるために,秋山モデル同様,ユニバーサルジョイントを使って内転形が枠に沿って回転するような仕様になっているが,臼井タイプではドリル部分が交換できて,3〜6角の穴に対応することができる.

 電動でなく手回し式としたのも同じ理由によるが,家庭用のかきごおり器をイメージしたデザインになっていて,ハンドルを回すと氷の代わりにオアシスが削り取られるというものである.実際に手回ししてみると秋山タイプにはない三角と五角の穴をうまくあけることができた.

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