■完全数と親和数の公式(その12)

 自然数Nの正の約数の和をσ(N)で表すことにします.k=2の場合が完全数ですが,

  σ(N)=kN

を満たす自然数をk倍完全数と呼ぶことにします.

  σ(120)=360=3・120

すなわち,3倍完全数です.3倍完全数は6個だけ知られています.

  120,672,523776,459818240,1476304896,31001180160

 1・2・3=6  (最小の完全数)

 4・5・6=120  (最小の3倍完全数)

 7・8・9=220+284  (最小の親和数の和)

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【1】フェルマーの3倍完全数公式

 フェルマーは,1636年に,

  672=3・7・32=3・7・2^5

  σ(672)=(1+2+・・・+2^5)(1+3)(1+7)=3・672

をみつけた.

 一般に,

  (2^n+3−1)/(2^n+1)が素数pに等しいならば,3・p・2^n+2は3倍完全数である.

  120は,n=1,15/3=5

  672は,n=3,63/9=7の場合に相当する.

(証)σ(3・p・2^n+2)=σ(3)σ(p)σ(2^n+2)

   σ(3)=1+3=4,σ(p)=1+p

   σ(2^n+2)=2^n+3−1

 p=(2^n+3−1)/(2^n+1)

 1+p=(2^n+3+2^n)/(2^n+1)=2^n(8+1)/(2^n+1)=9・2^n/(2^n+1)

より,

 σ(3・p・2^n+2)=σ(3)σ(p)σ(2^n+2)

=4・(2^n+3+2^n)/(2^n+1)・(2^n+3−1)

=4・9・2^n/(2^n+1)・(2^n+3−1)

=9・p・2^n+2=3・3・p・2^n+2

 この公式ですべての3倍完全数を求められるわけにはない.その組み合わせのひとつにすぎないのである.3番目の3倍完全数は,

  523776=3・11・31・2^9

であり,・・・31は素数ではないので,フェルマーの公式では見つけられないのである.

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 じつは,フェルマーの3倍完全数公式では,

  120は,n=1,15/3=5

  672は,n=3,63/9=7

しか与えてくれない.とんだ「うっかり公式」だったというわけである.

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