■朝鮮サイコロの出目の確率(その1)

 韓国の歴史ドラマで朝鮮サイコロが使われたらしく,ちょっとした話題になっているそうです.今回のコラムでは,外接球を有する中心対称な多面体をサイコロとして用い場合に各面のでる確率を求めてみることにします.

 2種類の面をもつ多面体を対象としますが,正多面体の場合とは違って,サイコロを投げたとき(toss)と転がしたとき(roll)では目のでる確率が異なります.tossingは静的で,各面のでる確率はその立体角によって決まってくるので球面三角形を考える問題に帰着されます.それに対して,rollingは動的であって,たとえば辺で接地していてその真上に重心がある状態では左半分と右半分のそれぞれの重心の低い方に転がりやすいと考えられますから,物理学的な問題となります.

 今回は任意の切頂立方体をtossした場合に各面のでる確率を切頂の深さdの関数として表すことにします.

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【1】切頂立方体(1≦d≦2の場合)

 1<d<2では,正方形面6枚と六角形面8枚からなる14面体となります.この場合,正方形面の対角線の長さの半分をrとしてパラメトライズすると,

  r=2−d

そして,正方形面の上半分の三角形を

  A(0,r,1)

  B(r,0,1)

  C(−r,0,1)

とすると,

  OA↑・OB↑=|OA↑||OB↑|cosc

 =(r^2+1)cosc=1

より,

  cosc=1/(r^2+1)=cosb

  OB↑・OC↑=|OB↑||OC↑|cosa

 =(r^2+1)cosc=1−r^2

より,

  cosa=(1−r^2)/(r^2+1)=cosb

 これより

  cosC=1/(r^2+2)^(1/2)=cosB

  cosA=−r^2/(r^2+2)

  A=arccos(−r^2/(r^2+2))=π−arccos(r2/(r^2+2))

と計算され

  S4 =2(A+B+C−π)

    =2{2arccos(1/(r^2+2)^(1/2)^(1/2))−arccos(r^2/(r^2+2))}

    =2{π−2arccos(r^2/(r^2+2))}

  6S4+8S6=4π

で与えられることがわかります.

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  D(1,0,r)

  AB=r√2,BD=(1−r)√2

 実際のデータでは

  AB:BD=1.4650858:0.4465002

あるいは

  AB:BD=0.4465002:1.4650858

だそうですが,前者と思われます.

  r=.767025

 したがって,出目の確率は

  四角形面:六角形面=0.437937:0.562063

となります.

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