■位相幾何学的結晶理論?

 高次元多面体研究の方法として

[1]組み合わせ位相幾何学的方法

[2]グラフ理論的方法

[3]群論的方法(コクセター)

[4]個々に構成する方法(乙部融朗)

[5]計量的方法(石井源久)

[6]遺伝的方法(佐藤郁郎)

などがあげられる.

 一方,結晶学分野にグラフ(点と線からなる図形)が応用されるようになったのは1980年代であるらしい.

  砂田利一「ダイヤモンドはなぜ美しい?」シュプリンガー・フェアラーク東京

はその解説書である.

 そこでは,ダイヤモンド結晶に加え,K4結晶(ダイヤモンドの双子)が紹介されていたと記憶している.K4結晶は1933年,ラーベが仮想的結晶と発見していたが,砂田先生はその結晶構造がダイヤモンドと似た対称性をもつことを見いだし,まや,それ以外にはないことを証明したとのことである.

===================================

 ところで,ダイヤモンド結晶のボロノイ領域は空間充填16面体になるのに対して,K4結晶のボロノイ領域は空間充填18面体である.それは4軸構造から自然に得られる形である.

 空間充填16面体も空間充填18面体も,face-to-face arrangementで空間を隙間なく埋め尽くすが,エンゲルが発見した空間充填38面体はnon-face-to-face arrangementでしか空間を埋め尽くすことができない.

 face-to-face arrangement空間充填多面体の面数の上限を私は知らない.

 今週はじめ上京した折り,秋山仁先生より砂田先生の

  「Topological Crystallography」,Springer

を頂いた.face-to-face arrangementのf上限など,そのような目新しい内容を含んでいてくれればよいのであるが,期待しながら読んでみたい.

===================================