■楕円積分の加法定理(その3)

 レムニスケートには円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(n=22^m+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることです.

 そこで,4半円弧長および4半レムニスケート弧長を定規とコンパスで3等分,4等分,5等分できることを示してみたいのですが,レムニスケート弧長の等分は面倒そうなので,今回のコラムでは円弧長の等分だけに限りたいと思います.

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【1】円弧長の3等分

 3倍角の公式

  sin3u=-4sin^3u+3sinu

  sinu=-4sin^3u/3+3sinu/3

において,sin(u/2)=v,sin(u)=1とおくことにします.すると,

  4v^3-3v-1=0

  (v+1)(2v-1)^2=0 → v=1/2

 sinθ=1/2 → θ=π/6 → OK

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【2】円弧長の4等分

 倍角の公式

  sin2u=2sinucosu=2sinu(1-sin^2u)^1/2

を繰り返せば

  sin4u=2sin2ucos2u=2sin2u(1-sin^22u)^1/2

より

  sinu=2sinu/2cosu/2=2sinu/2(1-sin^2u/2)^1/2=1 → sinu/2=1/√2

  sinu/2=2sinu/4cosu/4=2sinu/4(1-sin^2u/4)^1/2=1/√2 → sinu/4=((2-√2)/4)^1/2

 → OK

 sinθ=((2-√2)/4)^1/2 → θ=π/8 → OK

 4等分できることは倍角の公式の結果(sinu/2=1/√2)より明らかですが,4倍角の公式

  sin4u=(-8sin^3u+4sinu)cosu=(-8sin^3u+4sinu)(1-sin^2u)^1/2

から(馬鹿正直に)求めてみることにします.

  sinu=(-8sin^3u/4+4sinu/4)(1-sin^2u/4)^1/2

において,sin(u/4)=v,sin(u)=1とおくことにします.すると,

  64v^8-128v^6+80v^4-16v^2+1=0

  (64v^4+1/v^4)-16(8v^2+1/v^2)+80=0

 さらにまた,8v^2+1/v^2=wとおくと,

  w^2-16w+64=0よりw=8

より,v=((2-√2)/4)^1/2 → OK

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【3】円弧長の5等分

 5倍角の公式

  sin5u=16sin^5u-20sin^3u+5sinu

  sinu=16sin^u/5-20sin^3u/5+5sinu/5

において,sin(u/2)=v,sin(u)=1とおくことにします.すると,

  16v^5-20v^3+5v-1=0

  (v-1)(16v^4+16v^3-4v^2-4v+1)=0 → v=1/2

  (16v^2+1/v^2)+4(4v-1/v)-4=0

 さらにまた,4v-1/v=wとおくと,

  w^2+4w+4=0よりw=-2

より,4v^2+2v-1=0 → v=(-1+√5)/4

 sinθ=(-1+√5)/4 → θ=π/10 → OK

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