■準正多面体は総計?種類ある

 コラム「正多面体は総計15種類ある」の議論の後,正多角形面のみを用いて,どんな凸多面体を作ることができるかという問いは自然な発想であろう.

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【1】アルキメデスの立体

 アルキメデスの立体はプラトン立体の5種類よりも多く,全部で13種類あります.これらの準正多面体は各頂点での面の配置を与えることによって表示できます.

  (3,4,3,4)→立方八面体

  (3,6,6)  →切頂四面体

 正n角形の内角は(n−2)π/nなので,(p1,p2,・・・,pk)では

  Σ(pi−2)π/pi<2π

  Σ2/pi>k−2

でなければなりません.

[1]各頂点に3個の面が集まっているとき,

k=3ですから,

  1/p1+1/p2+1/p3>1/2

となります.

 p1=p2=p3ならばpi=3,4,5ですから,それぞれ正四面体,立方体,正二十面体に対応します

 p1≠p2ならば,p3は偶数でなければなりませんから,

  (p1,p2,p3)=(3,6,6)→切頂四面体

  (p1,p2,p3)=(4,6,6)→切頂八面体

  (p1,p2,p3)=(5,6,6)→切頂二十面体

  (p1,p2,p3)=(3,8,8)→切頂立方体

  (p1,p2,p3)=(3,10,10)→切頂十二面体

  (p1,p2,p3)=(4,6,8)→切頂立方八面体

  (p1,p2,p3)=(4,6,10)→切頂二十十二面体

[2]各頂点に4個の面が集まっているとき,

k=4ですから,

  1/p1+1/p2+1/p3+1/p4>1

となります.

 p1=3ならば,p2=p4でなければなりませんから

  (p1,p2,p3,p4)=(3,3,3,3)→正八面体

  (p1,p2,p3,p4)=(3,4,3,4)→立方八面体

  (p1,p2,p3,p4)=(3,5,3,5)→二十十二面体

  (p1,p2,p3,p4)=(3,4,4,4)→菱形立方八面体

  (p1,p2,p3,p4)=(3,4,5,4)→菱形二十十二面体

[2]各頂点に5個の面が集まっているとき,

k=5ですから,

  1/p1+1/p2+1/p3+1/p4+1/p5>3/2

となります.

  (p1,p2,p3,p4,p5)=(3,3,3,3,3)→正二十面体

  (p1,p2,p3,p4,p5)=(3,3,3,3,4)→ねじれ立方体

  (p1,p2,p3,p4,p5)=(3,3,3,3,5)→ねじれ十二面体

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【2】アルキメデスの平面充填形

 (p,q)=(3,6)は正三角形格子,(4,4)は正方格子,(6,3)は正六角形格子のことです.5種類あるプラトンの立体に,平面充填形(3,6),(4,4),(6,3)を加えておくと何かにつけて都合がよいのですが,これらは,

  1/p+1/q=1/2

を満たし,平面充填形は面数が無限大となって全体が一面に広がってしまった正多面体(退化した多面体)と解釈することができるからです.一種の正2面体群と考えることもできましょう.

 1種類の正多角形を使ったタイル張り(プラトンの平面充填形)がプラトン立体の5種類よりも少ないことは容易にわかりますが,全部で3種類あります.それでは2種類以上の正多角形を使ったらどうでしょうか? それを全部求めてみよといわれたらちょっと大変です.実は,アルキメデスの平面充填形は全部で8種あります.

 まず,どんな多角形を組み合わせたら,頂点のまわりを完全に埋めることができるかを考えてみましょう.頂点のまわりには,正三角形でも6個より多く並べることはできません.しかもこの場合は全部が正三角形に限ります.次に,5個集まる場合は少なくとも正三角形が3個なければなりませんから,結局,5個の組は正三角形3個と正方形2個か,正三角形4個と正六角形1個の場合しかありません.

 次に,4個の場合,正多角形をそれぞれp1 ,p2 ,p3 ,p4 角形(pi ≧3)とすると,必要条件は

  1/p1 +1/p2 +1/p3 +1/p4 =1

3個の場合は同様に

  1/p1 +1/p2 +1/p3 =1/2

と書けます.これを満たす3以上の正の整数の組を求めればよいことになります.実際に解いてみると必要条件を満たす組は17組できますが,十分条件を満たさない,すなわち,1点のまわりだけは完全に埋められても平面のタイル張りにならないものが出てきます.結局,求めるタイル張りはただ1種類の正多角形を使う場合の3通りを含めて,11通りあることになります.

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【3】準正多面体は総計24種類ある

 菱形立方八面体は八角柱の上下に八角錐台の帽子をつけたものと考えることができる.もし,上の帽子を45°回転すると,擬菱形立方八面体(3,4,3,4)を得ることができる.この立体は1930年にやっと発見された.また,ねじれ立方体ねじれ十二面体には左手系と右手系の鏡像体がある.

 アルキメデス立体13種類に,平面充填形8種類とこれらの準多面体3種類を含めると,準正多面体は全部で24種類になる.

  a)アルキメデス立体   13+3種類

  b)平面充填形      8種類

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