■正多面体の外接球と内接球(その4)

 多面体の球への近似度については,R/rよりも表面積S(球の場合は4πr^2)の3乗を体積V(球の場合は4πr^3/3)の2乗で割った値(球の場合は36π)がよく用いられます(球の場合を1にしたければそれを36πで割ればよい).

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【1】等周比

 同じ大きさの球に内接する正12面体と正20面体とでは,正12面体の方が体積も表面積も大きい.−−−そんなばかなと思われるかもしれませんが,直感に反して,正12面体は球の66.5%,正20面体は球の60.6%を占めるのです.したがって,正多面体を球に内接させたとき最も球に近い正多面体は正12面体です.一方,外接させれば体積も表面積も正20面体の方が球に近くなります.

 平面凸集合に関して,周の長さLが一定で面積Aが最大の図形(面積が一定で周の最小な図形)は円であるという事実はよく知られています.そのことは

  L^2≧4πA

という不等式で表現されます.等号は円のときだけ成立します.

 同様に,3次元凸集合に対し,表面積をS,体積をVとすると

  S^3≧36πV^2

が成り立ちます.等号成立は球のときだけで,すべての立体中で球が表面積に対して最大の体積をもっています.

 立体図形のS^3/V^2は平面図形のL^2/Aの相当していて「等周比」と呼ばれます.等周比の点からいえば,5種の正多面体では正4面体が最も球に遠く,正20面体が最も球に近いことになります.

  [参]一松信「正多面体を解く」東海大学出版会,p19

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【2】未解決の最大・最小問題

 f個の面をもつ多面体の中で等周比の最小値を与えるものはなんでしょうか.f=4,6,12ではプラトンの正多面体,すなわち,正四面体,立方体,正十二面体が最小値をとります.しかし,f=8で等周比の最小値をあたえるものは正八面体ではありません.f=20は未解決のまま残っています.

 また,正多面体の頂点は外接円上に分布していますが,どの2点の最短距離もできるだけ大きくなるような点の分布をなしているとは限りません.たとえば,6個あるいは12個の点の分布はそれぞれ正八面体と正20面体になりますが,8個の点については立方体にはならないからです.

 参考までに,平面における定幅図形(いかなる方向に関しても等しい幅をもっている図形)は円だけではなく,そのような形状は無数にあります.定幅図形の中で最大の面積をもつものは円であり,最小の面積をもつものはルーローの三角形です.ルーローの三角形は3つの円弧からなる等辺円弧三角形ですが,そのまわりには7個のルーローの三角形を接触するように配置できます.一般に,3次元以上のd次元のとき,定幅で体積が最大のものはd次元球ですが,体積最小のものは解明されていません.

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