1^2=1
11^2=121
111^2=12321
1111^2=1234321
11111^2=123454321
111111^2=12345654321
1111111^2=1234567654321
11111111^2=123456787654321
111111111^2=12345678987654321
1が連続する数を2乗すると,数字が昇順・降順に整列する.筆算で計算してみると各行は1が連続する数が1桁ずつ左にずれていく.縦に見た各桁は1の重なりがだんだん増えていってやがて減少に転ずる.そのため,数字が昇順・降順に整列するのである.
もちろん1が10個以上連続する場合は繰り上がりが起こってしまうが,
1111111111^2=123456789[10]987654321
11111111111^2=123456789[10][11][10]987654321
のように桁の繰り上がりを記述すれば前述のルールは成り立つ.
次に,11のn乗数を並べて見ると
11^0=1
11^1=11
11^2=121
11^3=1331
11^4=14641
11^5=15[10][10]51
11^6=16[15][20][15]61
このようにパスカルの三角形は11のn乗数が並んだものと見ることができるのである.以下,このタイプのパスカルの三角形を2パスカルの三角形と呼ぶことにする.
しからば111^n,・・・,[11・・・1k]^nについてはどうなるだろうと考えるのは自然な成り行きであろう.kパスカルの三角形のレポートが
[参]松田修+津山高専数学クラブ「11からはじまる数学」東京図書
によくまとめられているので紹介したい.
11はティーンズから始められるという意味との掛詞になっているのだが,高専の学生達が考えた発展問題を優秀な教官が芽を摘むことなく上手に育んだ力作になっている.
なお,図形数との関わりでいうと,2パスカルの三角形の3列目:1,3,6,10,15,・・・は三角数,4列目:1,4,10,20,・・・は三角錐数(四面体数)である.したがって,5列目は4次元単体数と考えることができる.
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【1】kパスカルの三角形
111^0=1
111^1=111
111^2=12321
111^3=1367631
111^4=14[10][16][19][16][10]41
111^5=15[15][30][45][51][45][30][15]51
このように111^nの作る3パスカルの三角形の値は,上の段の隣り合った3つの値を足して得られることがわかります.3パスカルの三角形は(x^2+x+1)^nの係数列でもあります.
一般に,kパスカルの三角形は同じ段の隣りあうk個の数をたすことで次の段の数が得られます.(x^k-1+・・・+x+1)^nの係数列でもあるというわけです.
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【2】kフィボナッチ数列の超黄金比
2パスカルの三角形の斜めの項を足すと数列
1,1,2,3,5,8,・・・
が現れます.初項1,第2項1から始まり,隣り合う2項の和が次の項となるこの数列をフィボナッチ数列とよびます.
その一般項Fn は
Fn=Fn-1+Fn-2
です.この数列にフィボナッチ(13世紀のイタリアの数学者でピサのレオナルドとしても知られる)の名を冠したのはフランスの数学者リュカで,ハノイの塔の名で知られる2進法のパズルも1883年にリュカによって考案されたものです.
初項2,第2項1のフィボナッチ数列
2,1,3,4,7,11,18,・・・
は彼にちなんでリュカ数列と呼ばれています(1877年).
Ln=Ln-1+Ln-2
リュカはフィボナッチ数列,リュカ数列を用いてメルセンヌ数(2^n−1)が素数であるかどうかを判定し,(2^127−1)が素数であることを示しています(1876年).この数は12番目のメルセンヌ素数で,1952年の13番目(2^521−1)からはコンピュータによる発見ですから,コンピュータを使わずに見つけられた最大のメルセンヌ素数になっていて,わかっている最大の素数として最長不倒記録を保ち続けました.
フィボナッチ数列やリュカ数列の一般項は,3項漸化式:
Fn=Fn-1+Fn-2
Ln=Ln-1+Ln-2
の特性方程式
x^2−x−1=0
の2つの解より,連続する2項の比は黄金比
φ=(1+√5)/2=1.618034・・・
に次第に近づくことになります.
黄金長方形から正方形を取り除くと一回り小さな黄金長方形が現れてきます.このことを繰り返し行えば対数らせんが現れますが,この曲線は自然界ではオーム貝などの形にみられ,自己相似的な成長過程を表す理想的な曲線とされています.サイクロイドの伸開線はそれと合同なサイクロイドですが,対数らせんの伸開線もそれと合同な対数らせんになります.
今度は逆に1辺の長さがフィボナッチ数列の正方形をらせん状に加えていきます.最初の2つの正方形は1辺の長さが1で,そこに1辺の長さが2の正方形,引き続いて1辺の長さが3,5,8,13,21,・・・.すると,優美な対数らせんが現れてきますが,このらせんはほぼ黄金比で外に広がることになります.
さらに,1つの項の和がその前の3つの項の和になっている
Tn=Tn-1+Tn-2+Tn-3
で定義される数列
1,1,1,3,5,9,17,・・・
は,フィボナッチ数列の拡張とみなせるので,フィボナッチ(Fibonacci)をもじってトリボナッチ(Tribonacci)数列と呼ばれます.トリボナッチ数列は3パスカルの三角形に現れます.
トリボナッチ数列でも連続する2項の比はある決まった値
1/3{3√(19+3√33)+3√(19−3√33)+1}=1.839・・・
に収束します.これは
x^3−x^2−x−1=0
の実根です.
テトラナッチ数列,ペンタナッチ数列,ヘキサナッチ数列,・・・はkパスカルの三角形に現れますが,それぞれ特性方程式
x^4−x^3−x^2−x−1=0
x^5−x^4−x^3−x^2−x−1=0
x^6−x^5−x^4−x^3−x^2−x−1=0
・・・・・・・・・・・・・・
をニュートン法で近似計算してみると超黄金比φkが求められます.
超黄金比φkはただひとつ存在し,
x^k−1=(x−1)(x^k-1+・・・+x+1)
より,k→∞のときφk→2に近づくことがわかります.