■正三角形と六斜術(その22)

[Q]長さ20cmの棒2本を一端でつなぎ合わせる.つないだ端と反対の端を動かして,端同士が24cm離れた状態にすると,その面積は192平方cmになる.また,端同士が32cm離れた状態にすると,その面積は再び192平方cmになる.この途中のどこかで面積は最大値をとるが,その最大値は?

[A]最大値は直角三角形のとき,200平方cm.

 簡単な問題であるが,その3次元版を考えてみよう.

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 1辺の長さ1の正三角形2個が蝶番で結ばれた空間四角形は,2つ折りの三角形(H=0)から菱形(H=√3)まで変形する.

 空間のヘロンの公式は,オイラーの公式とも呼ばれるものであるが,

  (12×体積)^2=六斜術の両辺の差

に等しいということを主張していて,すなわち,点Pが平面三角形ABCの平面上になく,4点が四面体の頂点をなすときの四面体の体積公式であるから,六斜術は四面体が平面上に退化して体積が0になった極限と解釈することができる.

 二面角δは

  H=0→δ=0°

  H=1→δ=arccos(1/3)=70.5°

  H={(10−2√5)/5}^1/2→δ=2arctan(3−√5)=74.7548

  H=√3→δ=180°

であるが,体積が最大となるのは

  H=√(3/2)

のときである.

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[Q]H=√(3/2)のときの二面角を求めよ.

[A]δ/2=arctan(H/2/(H/2))=1

   δ=90°

 したがって,90°まで増加し,それ以降は減少に転ずることがわかる.考えてみれは,底面積が変わらず高さの変わる四面体の体積であるから当たり前の結果(アダマールの定理)であろう.

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