■a^2+b^2=2c^2の幾何学的な解釈

 縮小三角形の相似条件式は

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

である.もちろんa=b=cはこれを満足するから,それ以外にも無限に整数解(a,b,c)があることがわかる.

 渡邊芳行氏は

  a^2+λb^2=(λ+1)c^2

について計算し,λ=2の場合だけでも

  (a,b,c)=(5,13,11),(5,23,19),(19,61,51),(19,71,59),(23,37,33),(25,47,41),(29,59,51),(43,97,83),(47,83,73),(53,73,67)

の10組を示してくれた.

 今回のコラムではλ=1の場合,すなわち,

  a^2+b^2=2c^2

について,縮小三角形とはまったく異なる幾何学的な解釈を導入したい.なお,(1,1,1)はa^2+b^2=2c^2を満足することから,この不定方程式にも無限に解ががある.

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【1】円に内接する正方形

 円に内接する正方形を考える.とはいっても,

  2√2<π<4

を示したいからではない.

 円と正方形の隙間には,明らかに同じ大きさの正方形を挿入することはできない.そこで,2×2の正方形を円に内接させる.この場合も同じ大きさの正方形をさらに挿入することはできない.3×3,4×4でも同じことがいえる.

 しかし,5×5の正方形を円に内接させると,隙間に小正方形1個ずつ計4個をぴったりはめ込むことができる.

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【2】図の幾何学的解釈

 この図は円の直径上に小正方形が7個並んでいる.この小正方形の1辺の長さを1とすると,円の直径の2乗は1^2+7^2である.また,5×5の大正方形の方を考えてみると,円の直径の2乗は5^2+5^2である.

 つまり,50は2つの平方数の和として異なった2通りの表現ができる最小の数ということになる.

  50=1^2+7^2=5^2+5^2

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