■置換多面体の空間充填性(その285)

 これまで,ユークリッド空間において,次元に関わらず空間充填する2種類の多胞体,ミンコフスキー立体とBCC立体を構成してきたが,非ユークリッド空間ではどうだろうか?

 3次元ロバチェフスキー空間では,有限準正多面体による分解が5つあるという報告があった.ロシア語の文献であるため見ることはできない(見たとしても意味が解せない)が,空間充填立体という意味であろうと思う.

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 空間を鏡映三角形で埋めることをユークリッド空間(放物的)で考えたものですが,リーマン空間(楕円的),ロバチェフスキー空間(双曲的)を問題にするならば,解は非常に異なるものになります.

  α+β+γ>π,=π,<π

 すなわち

  1/a+1/b+1/c>1,=1,<1

に応じて楕円幾何学,ユークリッド幾何学,双曲幾何学の三角形が得られます.

 1/a+1/b+1/c>1を満たす正の整数の組みたす(a,b,c)は高々有限個で,(n,2,2)は正2面体群,(3,3,2)は正4面体群,(4,3,2)が正8(6)面体群,(5,3,2)は正20(12)面体群に対応しています.一方,1/a+1/b+1/c<1の場合は(n≧7,3,2),(n≧5,4,2),(n≧4,3,3),(n≧3,4,3)など無限個あり,双曲幾何学における市松模様三角形タイル張りの可能性は無限にあることになります.

 すなわち,楕円的空間では基本領域は有限個しかなく,有限個の基本領域をならべることによって全空間を埋めつくすことができます.一方,双曲的空間の場合には,無限に多くの種類の基本領域があり,全空間を隙間なく埋めるには無限個必要となります.ユークリッド空間はその中間で,基本領域は有限種類しかないが,全空間を埋めつくすには無限個必要であるというわけです.

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