■ボロノイ細胞と平行多面体(その16)

 正四面体をとり,半分の高さの所で底面と平行に切れば,元の正四面体の1辺の長さの半分の正四面体が切り分けられる.4個の頂点すべてを同様に切り離せばあとに正八面体が得られる.工藤の空間充填四面体(三角錐)に対して同様の切頂操作を施せば(正八面体でない)歪八面体が残ることになる.

 中川の六面体は工藤の三角錐を4等分したものであるから,4個で工藤の三角錐になる.これに対して切頂操作を施せば,歪八面体が4等分されることになる.どのように4等分されるか想像してみてほしいのだが,実は日常の発想を超えた形になる.やはり立体は作ってみないとわからないものである.

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【1】工藤三角錐と中川六面体

 以下,中川宏さん製作の木工模型を掲げる.写真左は工藤三角錐8個からなる大工藤三角錐,右は中川六面体4個からなる大工藤三角錐である.

 写真右の頂点から工藤三角錐に相当する部分を切り取ってみると,残りの部分は7面体になる.

 この7面体4個で,菱形12面体の6等分体と相似形になる.菱形12面体の6等分体を4等分するには正方形を田の字形あるいは区の字形に切る方法がすぐ思いつくが,この4等分法は第3の分け方になる.日常の発想を超えた分け方といえるであろう.

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【2】正四面体

 正四面体を4等分して,前述の操作を施した写真を掲げる.

 この場合は正八面体が4等分される.4個で菱形12面体の6等分体になる7面体はもちろん空間充填図形であるが,正八面体を4等分した7面体は空間充填図形にはならない.

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