■リーチ格子とゴレイ・コード

 1965年,リーチは群論と深く結びついた今日リーチ格子として知られるようになったものに基づいて,24次元空間の格子状詰め込みを構成しました.この詰め込みにおいては,なんと1つの超球に196560個もの超球が接触しています.τ24の196560個の点はリーチ格子の原点から一番近い点の集合として得られることが知られています.

 この配置から長さ24のゴレイ・コードが得られます(長さ23のゴレイ・コードにあとひとつつけ加えることによって長さ24のコードが得られる).このコードは3つまでの誤りが訂正できる.

 球の最密パッキングの研究は,2次形式の数論,ルート系,誤り訂正符号,有限単純群などの理論と関係し,最大の信頼性と最小の電力で伝送できる効率的な通信システムの設計に応用されています.とくに,リーチ格子の発見により,データ転送における誤り訂正符号の発見に大革新がもたらされましたが,通信技術への応用は球の詰め込み問題の四次元以上への一般化の結果としてなされたものであり,純粋数学の期待せざる応用の一例といってもよいでしょう.

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