■パスカルの三角形についてのある不等式(その3)

 log2/log3はフラクタル次元である.

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【1】シェルピンスキーの三角形とパスカルの三角形

 係数が奇数である場合にそのセルを黒くするとセルオートマトンの規則90

  Ci(t+1)=Ci-1(t)+Ci+1(t)  (mod2)

で与えられるようなネスト型の三角形パターンを生成する.このパターンはシェルピンスキーの三角形と呼ばれるモザイク模様である.

 シェルピンスキーがこの三角形を発見したのは1915年である.この事実は,パスカルの三角形にはまだ新たな発見があり得ることを示している.

 係数が3で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,係数が4で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,係数が5で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,・・・という作業を続けてた場合も左右対称なモザイク模様が現れる.

[補]チューリングは数理生物学の基礎を形作ったひとりでもある.トラやシマウマの毛皮の独特の模様が形成される過程を数学的に説明することに成功した.

 多くの人は,貝殻を拾い上げてその着色パターンに驚嘆した覚えがあろう.それぞれが独特の美しさをたたえているが,そのパターン形成の仕組みはわかっていない.まるで科学者に対して挑んでいるかのように思えるこの問題の数学的解答が,二項展開あるいは三項展開である.

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【2】シェルピンスキーの三角形

 ます単純な三角形を描き,次にもとの三角形の半分の大きさの三角形を3つ作って,もとの三角形のそれぞれの隅におく(三角形を4つの合同な三角形に分割して中央の三角形を取り除く).これを無限回繰り返す.

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 マス目の大きさを半分にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は3倍になるから,そのフラクタル次元は

  2^d=3→d=log3/log2=1.585

となる.

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【3】シェルピンスキーのカーペット

 ます単純な正方形を描き,次にそれを同じ大きさの9つの正方形に分割して,中央の1個を取り除く.これを無限回繰り返す.

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 マス目の大きさを1/3にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は8倍になるから,そのフラクタル次元は

  3^d=8→d=3log2/log3

となる.

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