■n角の穴をあけるドリル(その40)

 (α/2,β/2)を中心とする半径a0/2の円の直交座標におけるパラメータ表示式を

  x=α/2+a0/2cos(θ−π/2)=α/2+a0/2sinθ

  y=β/2+a0/2sin(θ−π/2)=β/2−a0/2cosθ

として,これを

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入すると,接線極座標における方程式は

  p(θ)=a0/2+a1cosθ+b1sinθ

  a1=−β/2,b1=α/2

で与えられます.

  p(θ)+p(θ+π)=a0

ですから,円は定幅曲線でその曲率半径は

  ρ(θ)=p(θ)+p”(θ)=a0/2

より,a0/2となります.また,

  Σ(k=0~n-1)p(θ+kω)=nr(一定),ω=2π/n

ですから,円は正n角形の内転形です.

 それでは,ルーローの三角形の接線極座標における方程式はどのように書けるのでしょうか?

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【2】ルーローの三角形

 ルーローの三角形(頂角2π/3)は区分毎に円弧を接続した曲線ですが,接線極座標を用いると各部分の継ぎ目でθをジャンプさせずに接続させることができます.

(1)中心を(0,r)とする半径rの円の接線極座標における方程式は

  p(θ)=r−rcosθ

で与えられますから

  0≦θ≦π/6 → p(θ)=r−rcosθ

  p(0)=p’(0)=0

(2)π/6≦θ≦π/2のとき

  円弧の中心(r/2,r−r√3/2),半径0

と考えます.すると

 → p(θ)=−r(1−√3/2)cosθ+r/2sinθ

(3)π/2≦θ≦5π/6のとき

  円弧の中心(−r/2,r−r√3/2),半径r

 → p(θ)=r−r(1−√3/2)cosθ−r/2sinθ

(4)5π/6≦θ≦7π/6のとき

  円弧の中心(0,r),半径0

 → p(θ)=−rcosθ

(5)7π/6≦θ≦3π/2のとき

  円弧の中心(r/2,r−r√3/2),半径r

 → p(θ)=r−r(1−√3/2)cosθ+r/2sinθ

(6)3π/2≦θ≦11π/6のとき

  円弧の中心(−r/2,r−r√3/2),半径0

 → p(θ)=−r(1−√3/2)cosθ−r/2sinθ

(7)11π/6≦θ≦2πのとき

  円弧の中心(0,r),半径r

 → p(θ)=r−rcosθ

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【2】定幅曲線

 ルーローの三角形は幅が一定の曲線で円ではないものの古典的な例になっています.ここでは,そのことを証明してみます.

  p(θ)+p(θ+π)=r(一定)

となることが示せればよいのですが,

(1)0≦θ≦π/6のとき,π≦θ+π≦7π/6

  p(θ)+p(θ+π)=r−rcosθ−rcos(θ+π)=r

(2)π/6≦θ≦π/2のとき,7π/6≦θ+π≦3π/2

  p(θ)+p(θ+π)=−r(1−√3/2)cosθ+r/2sinθ+r−r(1−√3/2)cos(θ+π)+r/2sin(θ+π)=r

(3)π/2≦θ≦5π/6のとき,3π/2≦θ+π≦11π/6

  p(θ)+p(θ+π)=r−r(1−√3/2)cosθ−r/2sinθ−r(1−√3/2)cos(θ+π)−r/2sin(θ+π)=r

(4)5π/6≦θ≦7π/6のとき,11π/6≦θ+π≦13π/6

  p(θ)+p(θ+π)=−rcosθ+r−rcos(θ+π)=r

以下同様.

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【3】ルーローの三角形の平行曲線

 また,各角内に半径r+a,各対角内に半径aの円弧を描いても定幅曲線が得られます.

(1)0≦θ≦π/6のとき

  円弧の中心(0,r),半径r+a

 → p(θ)=r+a−rcosθ,p(0)=p’(0)=0

(2)π/6≦θ≦π/2のとき

  円弧の中心(r/2,r−r√3/2),半径a

 → p(θ)=a−r(1−√3/2)cosθ+r/2sinθ

(3)π/2≦θ≦5π/6のとき

  円弧の中心(−r/2,r−r√3/2),半径r+a

 → p(θ)=r+a−r(1−√3/2)cosθ−r/2sinθ

(4)5π/6≦θ≦7π/6のとき

  円弧の中心(0,r),半径a

 → p(θ)=a−rcosθ

(5)7π/6≦θ≦3π/2のとき

  円弧の中心(r/2,r−r√3/2),半径r+a

 → p(θ)=r+a−r(1−√3/2)cosθ+r/2sinθ

(6)3π/2≦θ≦11π/6のとき

  円弧の中心(−r/2,r−r√3/2),半径a

 → p(θ)=a−r(1−√3/2)cosθ−r/2sinθ

(7)11π/6≦θ≦2πのとき

  円弧の中心(0,r),半径r+a

 → p(θ)=r+a−rcosθ

となり,同様に証明できます.

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【4】ルーローの奇数角形

 三角形の代わりに(2q+1)角形についても同様です.

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