■核廃絶と放射線医療拒否(その2)

 坂本龍一さんが中咽頭がんであることがわかった.しかし,本人が反原発運動に携わってきた立場から「放射線治療は拒否」という情報が出回っている.美談として伝わっているが,私はそうは思わない.放射能と放射線,放射という字がかぶっているだけで放射線を目の敵にして,放射線治療は拒否した方がいいというなんかおかしな常識がはびこることを危惧している.

 ところで,同じ中咽頭がんとはいっても,病態は人によりさまざまで,治療法も十把一絡げではない.

===================================

 頭頸部がん,とりわけ,中咽頭がんにおいて、HPV(ヒトパピローマウィルス)が検出された場合と検出されなかった場合で、治療法も予後も大きく異なることが知られている。

 われわれの検討では中咽頭がんの約1/3の症例でp16免疫染色陽性、また、その多くでHPV-DISHも陽性になった。

[1]p16免疫染色陽性

[2]HPV-DISH陽性

 同じ頭頸部がんとはいっても,下咽頭がん・食道がんではほとんどがp16陰性、口腔がんと肺がんではp16陽性であってもHPVが陽性なることはないようである。結構ややこしい問題であるが,このことは原発性肺がんか転移性肺がんかの鑑別と治療法の選択にも活かせそうだ。

 中咽頭がんにおいて、HPVが病態形成に関与していることは疑いようがないが、口腔がんではp16-IHC陽性かつHPV-DISH陽性の症例は当院ではまだ発見されていない。感度の点ではPCRでHPVを検出するほうが優れていると考えられ、現在PCR試行中である。

===================================