■核廃絶と放射線医療拒否

 坂本龍一さんが中咽頭がんであることがわかった.しかし,本人が反原発運動に携わってきた立場から「放射線治療は拒否」という情報が出回っている.

 坂本龍一の中咽頭癌は本当のようだ.原因がタバコなのかウィルス(HPV)なのかは不明であるが,その先はガセネタではなかろうかと思われる.原発と医療上の放射線は発生の仕組みが違う.反原発運動に携わってきた本人がそれを知らないはずがないからである.

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 2011年,福島の原発事故があって,発生した水素が爆発して外部に放出された放射性セシウムは広島原爆160発分といわれている.

 原爆の非人間性はいうまでもないが,原子炉であってもその危険性は他の事故とは比較にならないほど大きい.石油化学コンビナートが爆発したとしても何カ月かあとには事故の跡地は更地に戻るが,原発事故の現場には放射性物質が溶け落ちて遺されているわけで,チェルノブイリも福島も今後何世紀も立ち入ることができない.チェルノブイリのときはそうは思わなかった人でも,福島の惨事を迎えたあとは本当に悔いが残るであろう.

 そしてそのツケは,原発に何の恩恵も受けなかった子々孫々まで,健康上の危険性のみならず,廃炉にするための後始末のコスト(負の遺産)まで押しつけられることになった.完全に無害になるには10万年単位という年月を要する.

 原発自体が「トイレのないマンション」であり,核廃棄物をたとえ地下に埋めたとしても,日本のように人口密度の高い地震国で,国中に活断層が走り,地下水系の豊富な国では,地下水までもが汚染されてしまうことになるだろう.放射線汚染水もいずれ海水中に放射線汚染水を廃棄せざるをえないのである.

 それと同時に原発は「海水温上昇器」でもあり,世界中の異常気候を招いているのも元をたどれば原発に行き着くのかもしれない.石炭,石油を燃やさない分,CO2排出量を減少させることができるとしても,地球温暖化に拍車をかけているのである.

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 放射線のエネルギーを利用したいと考えること自体は自然な欲求である.レントゲンがX線を発見した1895年当時は放射線の危険性がよくわかっていなかったことは確かであるが,現在では放射線治療の安全性は確立され,医療上のベネフィットを受益することができる.放射能と放射線,放射という字がかぶっているだけで放射線を目の敵にして,放射線治療は拒否した方がいいというなんかおかしな常識がはびこることを危惧している.

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