■アルキメデスの問題(その5)

 ここでは,円を球面に置き換えるよく知られた定理を調べてみよう.

 同じ底辺と高さをもつ正方形と三角形の面積比は1/2である.

 同じ底辺と高さをもつ正方形と放物線の面積比は2/3である.

 同じ底面と高さをもつ円柱と円錐の体積比は1/3である.

 同じ底面と高さをもつ円柱と回転放物体の体積比は1/2である.

 アルキメデスは(積分法なしに)ひらめきによって,球の体積が球に接する円柱の体積の2/3になることを発見した.すなわち,

  πr^2・2r・2/3=4πr^3/3

 なお,球の表面積は,球に接する円柱の表面積と等しくなる.

  2πr・2r=4πr^2

ここで,円柱の上下の面も考えれば,球の表面積は球に接する円柱の表面積=2/3になるといってもよい.

  (4πr^2+2πr^2)・2/3=4πr^2

 さすがのアルキメデスもこの関係の単純さには驚いたに違いない.

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【1】ワイエルシュトラス関数

  F(x)=Σ1/2^n・sin^2(2^narcsinx)

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【2】高木関数

  F(x)=Σ1/2^n・φ^n(x)

ただし,φ^n(x)はφ^2(x)=φ(φ(x)),φ^3(x)=φ(φ(φ(x))),・・・

  φ(x)=2x      [0,1/2]

  φ(x)=2(1−x)  [1/2,1]

 高木関数はワイエルシュトラス関数の三角関数を三角形波で置き換えたものであるといえる.

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【3】アルキメデスの取り尽くし法

 放物線に関するアルキメデスの取り尽くし法と呼ばれるものは,高木関数(いたるところで微分不可能な連続曲線)とも関係している.

 van der Waerdenの二進数バージョンが高木曲線である。

  F(x)=Σ1/2^n・φ^n(x)

ただし,φ^n(x)はφ^2(x)=φ(φ(x)),φ^3(x)=φ(φ(φ(x))),・・・

  φ(x)=2x      [0,1/2]

  φ(x)=2(1−x)  [1/2,1]

 高木貞治の論文は

https://www.jstage.jst.go.jp/article/subutsuhokoku1901/1/0/1_0_F176/_article/-char/ja/

より,ダウンロードできる.高木曲線の発表のほうが、v.d.Waerdenよりはやい。v.d.Waerdernの証明のほうが、高木貞治より後なのである。二人は仲良しなので、Waerdenは高木貞治の結果を知っていたと思うが,・・・

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