■素数定理の深化

 1792年,ガウスは弱冠15才にして素数定理の見当をつけた.それは,xを越えない素数の個数を与える近似的な公式(素数定理)

  π(x)〜x/logxや

で,この定理は約100年後の1896年にアダマールとプーサンによって独立に証明された.

 次の問題.自然数の中に等間隔になる数は当たり前であるから,素数の中に等間隔の並ぶ数を考える.3個組,4個組,5個組,・・・

 双子素数予想よりさらに深遠なトピックスとして,「長さkを勝手に決めると,素数列の中から長さkの等差数列を拾い出すことができる」という有名な定理がある.

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【1】エルデシュ予想

 1930年代にエルデシュは,「自然数列{ai}がΣ1/ai=∞を満たすならば,自然数列{ai}は任意の長さの等差数列を含む.」ことを予想した.この予想は数論とエルゴード理論の間に深い関係を発展させる動機となった.

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【2】グリーン・タオの定理

 Σ{1/pi)→∞(オイラー)なので,エルデシュ予想を証明すれば各項が素数である任意の長さの等差数列が存在することがわかる.この事実は2004年にグリーンとタオによって証明された.

 すなわち,素数のみからなる等差数列,

  a,a+d,・・・,a+(n−1)d

において,「任意に長いn個の素数の等差数列が存在する.」(グリーン・タオの定理:2004年)

 つまり,3個組,4個組,5個組,・・・,n個組.nは100個でも100万個でも好きな数だけ等差数列を作れるのである.ただし,公差dを指定することはできない.

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