■ジンマシン2号

 オイラーの多面体公式を学習するシーンでは,まず,多面体の頂点数,辺数,面数を数え上げることになる.実際にやってみると,小中学生あるいは高校生であっても「あれ,この辺,数えたっけ?」ということになり,なかなか空欄は埋まらない.3次元の場合でも正20面体くらいになると誤答が続出する.その結果,v−e+f=2にはなかなかたどり着けないのである.

===================================

 3Dプリンタよりも廉価で,多面体の原理がわかるものを企画したい.ジンマシン1号は開発費が相当にかかることが見込まれる.そこで,高校生の数学教育用に3次元多面体に限定したもの(ジンマシン2号)を作りたい.

 原料となるのは正四面体・正八面体・正20面体(もちろん,立方体と正12面体も取り扱えるが双対で代用する).プログラムは0/1からなる3桁の数字の並びで,(000)を除く7通り(001),(010),(011),(100),(101),(110),(111)である.これで原料が加工されて出力される.

 3種類の原料と7通りのプログラムがあるから,原理的には21種類の多面体ができるはずであるが,自己双対の場合や重複する場合があるので,実際にできるのは正多面体5種類,準正多面体11種類である.

 重複する場合を少し補足すると,たとえば,切頂八面体を作るには

[1]正八面体を辺の3等分点で切頂する={3,4}(110)

[2]立方体を(辺の中点を越えて)辺長の3/4の点で切頂する={4,3}(011)

[3]正四面体を辺の中点で切頂して,辺長の1/6の点で切稜する(これはいったん正八面体を作ってから,辺の3等分点で切頂することと同じ操作である)={3,3}(111)

の3通りが考えられる.

 準正多面体は,

[1]正多面体を切頂する(切頂型)

[2]さらに切稜を加える(切頂切稜型)

ことによって作ることができる.切稜だけでは準正多面体はできないが,切頂あるいは切頂と切稜を組み合わせることによって,ねじれ型を除く11種類の準正多面体ができあがるのである.

 頂点座標を計算するための連立方程式を解けるだけのCPUは実装されていなければならない.それが実装できれば表面積や体積も計算することができるだろう.

===================================