■正多面体群と球面三角法(その4)

【1】ガンマ関数と超球との関係

 ガウス積分をn次元に拡張し,

  I=∫(-∞,∞)exp(-x1^2+x2^2+・・・+xn^2)dx1dx2・・・dxn

を考えると

  ∫(-∞,∞)exp(-x^2)dx=√π

のn重積分より,直ちに

  I=π^(n/2)

を得ることができます.

 n次元ガウス積分を別の方法,直交座標でなく,極座標で求めてみましょう.

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 球に相当するn次元の図形を超球と呼びます.n次元単位超球{x1^2+x2^2+・・・+xn^2≦1}の体積をVnとすると,V1=2(直径),V2=π(面積),V3=4π/3(体積)はご存知でしょう.また,単位超球の表面積Sn-1はnVn,半径rのn次元球の体積はvnr^n,表面積はnVnr^n-1となります.

 ガウス積分の被積分関数を原点を中心とする半径rの球面上で積分し,次にr=0からr=∞まで積分すると,半径rの球面上で被積分関数は一定値exp(-r^2)をとり,表面積はnVnr^n-1ですから,

I=∫(0,∞)exp(-r^2)nVnr^n-1dr

=nVn∫(0,∞)r^(n-1)exp(-r^2)dr

z=r^2と変数変換するとdz=2rdrより

I=nVn/2∫(0,∞)z^(n/2-1)exp(-z)dz

=Vnn/2Γ(n/2) n/2Γ(n/2)=Γ(n/2+1)

=VnΓ(n/2+1)

したがって,Vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)   rn=

を得ることができます.

 この結果は,形式的にVn=π^(n/2)/(n/2)!と書くことができます. Γ(m+1)=m!

これより,半径rのn次元超球の超体積はVnrn=(πr2)^(n/2)/Γ(n/2+1)となります.

 nが整数のとき,実際にVnの値を計算してみると,超球の体積はn=5のとき最大8π^2/15=5.2637・・・となり,以後は減少します.

n      Vn  

1次元    2

2次元    3.14

3次元    4.19

4次元    4.93

5次元    5.263

6次元    5.167

7次元    4.72

8次元    4.06

9次元    3.30

10次元   2.55

(次元を整数に限らなければ5.256次元で最大となり,そのときの体積は5.277・・・である.)

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