■n角の穴をあけるドリル(その22)

 n角の穴をあけるドリルの問題は,所与(正n角形)の枠に内接しながら回転することができるローターの形とその中心の描く軌道を決定する問題である.ローターの形は円弧を組み合わせたものであるが,n=3,4,6,8,・・・の場合は既に知られていた.n=5,7,9,・・・の場合はこのシリーズで与えた解が初出であると思われる.

 一方,ロータリーエンジンの問題は,ローターの中心の描く軌道を円軌道,枠の形を正n−1角形を原点を中心とする円周上を公転させながら自らも自転することにより得られる曲線(ペリトロコイド曲線)としたときのローターの形(n=3〜)を決定する問題である.

             ドリルの問題   ロータリーエンジンの問題

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枠の形          既定(正n角形) 既定(ペリトロコイド曲線)

ローターの形       既定/未定(円弧)    未定

ローターの中心の軌道     未定         既定(円)

 ところで,デルトイドの接線の中点の描く軌跡は円になるが,三角の穴をあけるドリルの正三角形を太ったデルトイドとみなすと,太った線分に相当するものが藤原・掛谷の2角形である.また,正三角形の中の藤原・掛谷の2角形の中心の運動は3つの楕円の弧を組み合わせた三角おむすび形の軌道になる.三角の穴をあけるドリルではそれぞれ変形を余儀なくされるというわけである.

 それと同様に,三角の穴をあけるドリルのローターの中心の運動(楕円の組み合わせ)を円軌道にすると,枠の形とローターの形の変形を強いられることになる.ローターの形は3サイクルロータリーエンジンと同じになるが,枠の形はデルトイドの頂点を丸めたような形の凹図形になる(その16).

 n=4の場合も非円形となるべきところを円形運動を近似しているので,ルーローの三角形も変形を余儀なくされるが,変形の程度は僅かであって,ルーローの三角形によく似たローターが得られる.また,枠の形も一部が凹の概四角形を描く.

 今回のコラムでは概n角の穴をあけるドリルのアニメを掲げることにする.ドリルの問題ではローターの自転と公転が反対回りであるが,ロータリーエンジンでは同じ向きという違いがあるだけである.そのため,ロータリーエンジンと概n角の穴をあけるドリルのローターは同形となる.

 このことからもn角の穴をあけるドリル(その15)とロータリーエンジン(その19),概n角の穴をあけるドリル(その22)は表裏一体の関係にあることがおわかりいただけると思う.

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【1】概三角の穴をあけるドリル

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【2】概四角の穴をあけるドリル

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【3】概五角の穴をあけるドリル

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【4】概六角の穴をあけるドリル

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