■はなまるの幾何学(その14)

(Q)固定された円の内部に直径が1/2のもう一つの円が入っているとする.小さい円が大きい円に内接し滑ることなく大きい円に沿って回転すると,動円上の定点はどのような軌跡を描くか?

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【1】コペルニクスの定理

(A)答えは驚くほど単純で「固定円の直径」上を直線運動するのです(アッと驚く図形だったでしょうか).この結果は円周角の定理より正しいことが確かめられます.コペルニクスの定理と呼ばれているのですが,運動学的には回転運動を直線運動に変換する変換器であり,リンク機構(蝶番つき平行四辺形)を使って実現されます.

 ところで,ロータリーエンジンの機械運動学的解析から,ステーターは円でなくても,定幅図形であればよいことがわかりました.定幅図形はいかなる方向に関しても等しい幅をもっているので,その幅の2倍の直径をもつ円の中心は,常に定幅図形の周上にあることになるからです.

 このことは定幅図形を水平線上で転がすと,回転の中心は直線との接点の鉛直線上にあることから理解されます.また,定幅曲線の共通の性質として,

  「幅dの定幅曲線の周長Lはπdである」

があげられます(バービエの定理:1860年).円ではd=2r,L=2πr=2d.ルーローの三角形では元の三角形の1辺の長さをlとするとd=l,各円弧の長さはπl/3ですから,L=πdを満たし,これにより幅の等しい定幅曲線は周長も等しいことがわかります.

 それでは,

(Q)固定された円の内部に,その直径の半分幅のルーローの三角形が入っているとする.ルーローの三角形が大きい円に内接し滑ることなく大きい円に沿って回転すると,ルーローの三角形の頂点はどのような軌跡を描くか?

(A)2つのレンズを連ねたような形になります.連ズ型とシャレておきますが,簡単なので実際に確かめてみてください.

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