■ランダム行列(その7)

 補足しておきたい.

[1]中心極限定理はnが大きいときには4次以上のモーメントに依存する項からの寄与がなくなり,2次のモーメントだけに依存する振る舞いが得られることを意味する.

[2]ガウス型直交アンサンブル(GOE)では

  exp(−trS^2/2)=Πexp(−trSjj^2/2)Πexp(−trSij^2/2)

となって,実対称行列Sの対角要素がN(0,1),非対角要素がN(0,1/2)にしたがう.

[2]ガウス型ユニタリーアンサンブル(GUE)の固有値の局所相関係数は

  1−(sinπω/πω)^2

が得られる.

 モンゴメリーは正規化されたゼータ関数の零点のペアに関する相関を調べ,ダイソンはそれがランダムなユニタリ行列の固有値の相関関係

  1−(sinπΔE/πΔE)^2

と同じものであることに気づいたというわけである.

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