■n角の穴をあけるドリル(その17)

 (その16)ではn角形の穴とペリトロコイド曲線と重ねて描いたが,ペリトロコイド曲線はリマソンの拡張であり,n−2角形おむすび状の曲線であることがわかった.

 今回のコラムでは回転子とつねに相対的位置が不変に保たれたペリトロコイド曲線の運動について調べてみる.結論を先にいうとペリトロコイド曲線を(n−2)公転について1回自転させることによって,たとえば,n=4の場合はルーローの三角形に類似した包絡線が得られる.

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【1】ペリトロコイド曲線の回転

 ペリトロコイド曲線を

  x=Rcos(β+γ)+acos(n−1)β

  y=Rsin(β+γ)+asin(n−1)β

で表すことにする.

 この曲線を(n−2)公転について1回自転させてみる.その際,公転と自転の向きを逆方向にとると,

  [X]=[ cosθ,sinθ][x]+acos(n−2)θ

  [Y]=[−sinθ,cosθ][y]+asin(n−2)θ

 実際に(X,Y)の軌跡を描いてみると,たとえば,n=4の場合はルーローの三角形の近似形の包絡線が得られることがわかるだろう.ロータリーエンジンはペリトロコイド曲線と包絡線を基本形状として設計されているそうである.実用化されているのはn=4のロータリーエンジンであるが,以下,n=3〜6のときの形を掲げる.

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【2】ロータリーエンジン(n=3)

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【3】ロータリーエンジン(n=4)

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【4】ロータリーエンジン(n=5)

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【5】ロータリーエンジン(n=6)

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