■ある研究会にて

 数え上げは数学の中で最も基本的な操作である.ワイルはほとんどすべての等式の根底にあるのは,同じ対称を3通りの方法で数え上げても結果は等しいという原理であると行っている.

 2通りに計算することは家計簿つけのシーンに喩えられる.まず行ごとの合計を求めてそれを総計する.次に列ごとの合計を求めてそれを総計する.そして計算が正しければその2つの計算結果は一致するというわけである.

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 2(2^n−1)面体(置換多面体)は空間充填多面体であるが,その体積はミンコフスキー和,すなわち,平行2n面体分解によって計算することができる.また,一般の多面体も含め,その体積は角錐分解することによっても計算することができる.

 両者が等しくなったので,この多面体の体積はxxxである・・・という話をしたところ,ある質問者は100通りの方法でやって合致してもそれは数学的結論ではないという.要するにこの質問者のいいたいことは,お前の計算は信じられないということなのであろうが,この質問者はまったく計算しない人であり,まったく計算しないで高次元幾何学が理解できるはずがないのである.

 繰り返すが,高次元幾何学では直観が半分,計算が半分である.直観ばかりでは3次元人はピットホールに陥ること必定であるから,計算しながら裏付けをとっていくことが必要である.二つのバランスがうまくとれないと進歩はままならない.

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