■高校生が発見した幾何の定理

 以前,岩手の宮本次郎先生から高校生が発見した5円定理の話を伺ったことがある.そのときは図もなかったので,どのような定理なのかよくわからなかったが,5円定理「あるひとつの円周C上に中心をもつ5つの円を5円のそれぞれが隣の円とC上に交点をもつようにして描く.5つの円は同じ大きさである必要はない.このとき,もう一つの交点を結ぶと星形五角形となり,その頂点は5つの円周上にある.」のバリエーションだろうと想像していた.

 昨日,書店で表紙にそれらしき図の描かれている本を発見.

  [参]安藤潔・佐藤敏明「初等幾何学」森北出版

1989年,当時岩手の高校1年生だった高田英行君が発見したとある.

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【1】ミケルの定理

 5円定理「あるひとつの円周C上に中心をもつ5つの円を5円のそれぞれが隣の円とC上に交点をもつようにして描く.5つの円は同じ大きさである必要はない.このとき,もう一つの交点を結ぶと星形五角形となり,その頂点は5つの円周上にある.」を,五角形から始めて星形五角形を作り,三角形の外接円の交点が同一円周上にあるとした定理である.

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【2】高田の定理

 円に内接する互角形の対角線から星形五角形を作る.星形五角形に含まれない三角形の外接円の交点が同一円周上にあるが,もう一つの外接円の交点も同一円周上にある.

 5円定理のバリエーションには違いないが,新たな円が登場する.高田君は中学から数学とくに幾何学が好きで,ミケルの定理(1838年)もすでに学んでいたとのことであった.

 なお,この定理は円だけではなく円錐曲線にまで拡張できるという.

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