■地図と三角法(その14)

【1】等長地図はつくれない

 単位球面に対して,等長地図が作れると仮定すると,ガウスの驚異の定理より

  E=1,F=0,G=1

となる.

 これより,ガウス曲率K=0となるが,単位球面ではつねにK=1である(矛盾).

 ガウス曲率がつねにK=0となる曲面は可展面と呼ばれる.

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【2】等角地図はつねにつくれる

 等角地図は数学では等温座標系と呼ばれる.等角地図は単純な球面ではなくどんな複雑な曲面であってもつねに作ることができる.

  [参]西川青季「等長地図はなぜできない」日本評論社

ではベルトラミ方程式を解いて,等温座標系の存在を証明している.興味をもられた読者は購読されたい.

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【3】プラトー問題(極小曲面)

 プラトーの法則とは,石鹸膜が出会うとき

[1]3つの面が1本の曲線で出会うとき,それらは互いに120°で交わる.

[2]6つの面(4本の曲線)は1点で出会うとき,それらは互いに109.5°で交わる.

 プラトー問題の解は,1930年,ダグラスとラドーによって独立に与えられた.ダグラスはその業績により第1回フィールズ賞を受賞している(1936年).

 石鹸膜のように平均曲率が至るところ0である曲面は極小曲面と呼ばれる.[1]線織面である極小曲面は常螺旋面に限られる.

[2]回転面である極小曲面は懸垂面に限られる.

[3]移動曲面である極小曲面はシャーク曲面に限られる.

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