■平行多面体と鉱物結晶(その2)

 ロンスデール石(ロンスデーライト)は1967年にアメリカのアリゾナ隕石孔(クレーター)で発見されたダイヤモンド格子に似た極めて稀少な結晶である.ロンスデールは英国の結晶学者であり,ロンスデーライトは彼の名前にちなんでいる.

 生物学の世界では新種の発見物に対して自分の名前をつけることは許容されているが,鉱物学では許されていない.鉱物学に詳しい友人から聞いた話では,あくまでも本人以外のお弟子さん達なりその同調者が嘆願活動をすることによって,学会で承認されることになっているらしい.

 つまり,自分の名前がつけられた石があるということは学者としての評価が高いことは当然のこととして,人格的にも優れた人望に厚い人物ということになるのだろう.

 (その1)で紹介した松原聰先生も,松原石(マツバライト)と命名された石をお持ちである.以前,大久保にある国立科学博物館(分館)を訪問したとき,その石を見せていただいたことがあるが,想像していたものよりもかなり小さな石であった.

 石を鉱物ルーペで眺めては正方晶系や等軸晶系などに分類し,飽きもせず鑑定を進められておられた姿が思い出される.

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