■単純リー環を使った面数数え上げ(その156)

 (その153)−(その156)で,座標変換の影響はないことが確かめられたが,初期値に誤りがあったので,ここでは5回回転対称図形の初期値を与えておきたい.

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【1】正5角形と正10角形

 1辺の長さ1の正5角形の面積は

  1/2・tan54°×5/2={(5+2√5)/5}^1/2・5/4

で与えられる.

 1辺の長さ1の正10角形の面積は

  1/2・tan72°×5/2={(5+2√5)}^1/2・10/4

で与えられる.

 別の方法で検算してみよう.正10角形は正5角形の辺を1:τ:1に内分して得られる.このとき,辺の長さはτ/(τ+2)となる.

 切頂される面積は

  (τ/(τ+2))^2・tan36°×5/4

=1/5・(5−2√5)^1/2・5/4

であるから,1辺の長さがτ/(τ+2)の正10角形の面積は

  {(5+2√5)/5}^1/2・5/4−1/5・{(5−2√5)}^1/2・5/4

 1辺の長さが1の正10角形の面積は

  (τ/(τ+2))^2=1/5

で割って

  {5(5+2√5)}^1/2・5/4−{(5−2√5)}^1/2・5/4

={4(5+2√5)}^1/2・5/4

={(5+2√5)}^1/2・10/4

となって,正しいことが確認された.

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【2】正12面体と正20面体

 初期値

  正20面体:5τ^2/6

  正12面体:τ^4√5/2

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【3】切頂20面体の体積

 正20面体の各辺を3等分したところで切頂すると,正五角形と正六角形で囲まれた図形ができる.これがサッカーボールであるが,その体積を求めてみよう.

 必要ならば1辺の長さ1の体積

  正20面体:5τ^2/6=(15+5√5)/12

  正12面体:τ^4√5/2=(15+7√5)/4

を既知としてもよい.

 正20面体が正12面体の正五角形面の上に五角錐を載せたものであれば計算は簡単であるが,そううまくはいかないものである.そこで,奥の手をだそう.

 コラム「単純リー環を使った面数数え上げ(その142)」のように,正20面体の場合,p=3,q=5,h=10を代入すると

  P0(0,0,0)

  P1(1,0,0)

  P2(1,√(1/3),0)

  P3(1,√(1/3),(√5+1)/√3(√5−1))

となって,

  P0(0,0,0)

  P1(1,0,0)

  P2(1,tanθ,0)=(1,√(1/3),0)

  P3(1,tanθ,τ^2/2cosθ)=(1,√(1/3),τ^2/√3)

と一致する.

  a1=1,a2=√(1/3),a3=τ^2/√3

 サッカーボールは,正20面体系{3,5}(110)であるから,

  xj/aj=yj,y0=1,yn=0(xn=0)

とおく.

  (yj-1−yj)/(1/aj-1^2+1/aj^2)^1/2=(yj−yj+1)/(1/aj^2+1/aj+1^2)^1/2

を計算して

  1−y1=(y1−y2)/√4=L

 (y2−y3)/√(3+3/τ^4)=0→y2=y3=0,y1=2/3(辺の三等分点),L=1/3

 PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るのだが,原点をPnに移した方が紛らわしくないので

  a=(−a1,−a2,・・・,−an)

  q=(x1−a1,x2−a2,x3−a3,・・・,xn−an)

とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと

  c0=−(a1x1+・・・+anxn)+(a1^2+・・・+an^2)

  c0=−(a1^2y1+・・・+an^2yn)+(a1^2+・・・+an^2)

  h0=|c0|/‖d0‖,‖d0‖=(a1^2+・・・+an^2)^1/2

  c0=a1^2+a2^2+a3^2−a1^2y1=1+1/3+τ^4/3−2/3

  d0=(1+1/3+τ^4/3)^1/2=(4/3+τ^4/3)^1/2

  h0=(2+τ^4)/3・√{3/(4+τ^4)}

 辺の長さを1に規格化する.辺の長さは2L.したがって,

  Hk=hk/2L→H0=(2+τ^4)/2・√{3/(4+τ^4)}

  H0=(2+τ^4)/2√(τ√5)

 PnPn-1に垂直なn次元超平面では

  a=(0,・・・,0,−an)

  cn-1=−anxn+an^2=−an^2yn+an^2

  hn-1=|cn-1|/‖dn-1‖,‖dn-1‖=(an^2)^1/2

  an^2yn=0

→h2=a3=τ^2/√3,H2=h2/2L=τ^2√3/2

 また,

→V2=1/2・tan54°×5/2={(5+2√5)/5}^1/2・5/4(正五角形の面積)

→Λ2=3√3/2(正六角形の面積)

  V=(N0・V2・H0+N2・Λ2・H2)/3

={12・5{(5+2√5)/5}^1/2/4・(2+τ^4)/2√(τ√5)+20・3√3/2・τ^2√3/2}/3

=5/2・τ/√5・(2+τ^4)+15τ^2

 なお,

[1]中心から正五角形面までの距離

  H0=(2+τ^4)/2√(τ√5)=2.32744

[2]中心から正六角形面までの距離

  H2=τ^2√3/2=2.26728

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