■単純リー環を使った面数数え上げ(その150)

 当初,一般の準正多胞体について,効率的なk次元面数の数え上げや体積計算法は十中八九ないと思われた(しかし,そうではなかった).

 たとえば,体積は直接計算するのではなく,角錐に分解して,漸化式の形で求めることになる.この方法は個々に構成して数える方法で,見かけほど困難ではないが,一般公式は出せない.

===================================

【1】面数数え上げ

[1]組み合わせ論的な方法

 私がムーディ先生に教わった単純リー環を使った面数数え上げは,方法としては最もエレガントだと思われる.nとkを代入しただけで面数が計算できる点は非常に有用であるが,ただしそれができる多面体は極めて限定されている.

[2]幾何学的な方法

 石井源久先生のCGを利用して,個々に構成して数える方法で,見かけほど困難ではないが,一般公式は出せない.

[3]遺伝学的な方法

 [2]の方法になれてくると,形を見ずに遺伝子を解析するだけで面数数え上げが可能になってくる.やはり,一般公式にはならない.

===================================

【2】体積計算

 体積は位相幾何学的には求められず,計量的な方法にならざるを得ない.

[1]幾何学的な方法

[2]遺伝学的な方法

が考えられるが,これも面数数え上げとほぼ同様である.

 特殊な例,たとえば,平行体の体積は

[1]漸化式

[2]行列式(グラミアン)

で与えられる.

[1]では,底体積は漸化式から求められるので,あとは底面までの距離がわかればよいことになる.底体積を直接計算することは可能であるが,思った以上に難航した.

[2]では,平行体の体積は行列式(グラミアン)で与えられることから,ゾノトープの体積は平行体に分解して,平行体の体積がグラミアンで与えられることを用いればよい.ミンコフスキー和と呼ばれる平行2n面体分解法である.

 n次元置換多面体はm=n(n+1)/2組の平行なn次元ベクトル,また,その正軸体版はm=n(n−1)+n=n^2組の平行なn次元ベクトル

  V={v1,・・・,vm}

をもつ.したがって,これらの体積は線分のミンコフスキー和

  vol(V)=Σ|det(vi1,・・・,vin)|

で与えられる.(m,n)個の項をもつこの公式は,複体を平行体(parallelepiped)に分解してそのミンコフスキー和ととることを意味しているが,次元が高くなるにつれて[2]は大変難しくなるはず・・・と思っていた.ところが,Mathematicaには便利な組み込み関数があり,

  V={v1,・・・,vm}

の定義さえ済めば,予想以上に速く計算が完了したのである.

===================================