■単純リー環を使った面数数え上げ(その132)

 初期値が求まったから,引き続きHの計算に移りたい.

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【1】正軸体系の場合

[1]切頂・切稜点

 n次元正軸体の頂点の座標は

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

で与えられるから,基本単体の座標はk次元面の重心をとることによって,

  p0(1,0,・・・,0)

  p1(1/2,1/2,0,・・・,0)

  p2(1/3,1/3,1/3,0,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)

  pn(0,0,・・・,0)

 3次元の場合,x≧y≧z≧0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点P(x,y,z)からx=y平面,y=z平面,z=0平面までの距離を等しくとると

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=z=L

 → y=z+√2z

   x=y+√2z=z+2√2z

これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,

  3z+3√2z=1 → z=1/(3+3√2)

また,点P(x,y,z)のz=0平面に対する鏡映は(x,y,−z)であるから,辺の長さは2z.

(111)はこれでよいが,(110)ではz=0,

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=L

x=2y,y=y,z=0→辺の長さは2L=y√2

 zもyも0だったらといケースを考えると,(100)では

(x−y)/√2=L

  x+y+z=1より,x=1,y=0,z=0→辺の長さは2L=x√2

 すなわち,最小で非負の数を√2倍すればよいことになる.

[2]中心から各面までの距離

 切頂切稜面はPkPnに垂直で,点

  Q=(x1,・・・,xn),x1=x,x2=y,・・・,xn=ω

を通る.

PnP0=(1,0,・・・,0)

PnP1=(1/2,1/2,0,・・・,0)

PnPn-1=(1/n,・・・,1/n,1/n)

 ファセットを定めている不等式は,

  a・x=c

で与えられる.一般に,超平面a・x=cと点x0の距離は

  |a・x0−c|/‖a‖

とくに,原点からファセットまでの距離は|c|/‖a‖となる.

 PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るので,

  a=(1,0,・・・,0)

  q=(x1,x2,x3,・・・,xn)

とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと

  c0=x1

  h0=|c0|/‖d0‖,‖d0‖=(1^2)^1/2

 PnP1に垂直なn次元超平面では,辺心は

  a=(1/2,1/2,0,・・・,0)

  c1=(x1+x2)/2

  h1=|c1|/‖d1‖,‖d1‖=((1/2)^2+(1/2)^2)^1/2=1/√2

 PnPn-1に垂直なn次元超平面では,胞心は

  a=(1/n,・・・,1/n,1/n)

ここには切頂・切稜は施されないので,胞心面までの距離は1/√nであるが,同様に

  cn-1=(x1+x2+・・・+xn)/n=1/n

  hn-1=|cn-1|/‖dn-1‖,‖dn-1‖=((1/n)^2+・・・+(1/n)^2)^1/2=1/√n

  ‖dk-1‖^2=1/√k

 辺の長さを1に規格化するには,

  Hk=hk/2L

  ω≠0→Hk=hk/2ω

  ω=0→Hk=hk/z√2  (zは最小の非負な座標値)

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