■トーラス面上のグラフ(その1)

  [参]前原潤,桑田孝泰「絵ときトポロジー,曲面の形」共立出版

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【1】クラトウスキーの定理(1930年)

 「与えられたグラフGが平面グラフである必要十分条件は,GがK3,3とK5をマイナーとして含まないことである.」

 K3,3とK5は平面上に枝を交差させることなく描くことができないし,平面上に描くことさえできない.

 この定理を使うと4色定理は

 「K3,3とK5をマイナーとして含まないグラフは,頂点を4色で彩色することが可能である.」と言い換えることができる.なお,トーラス面上の地図の塗り分けには7色必要な場合がある.

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【2】完全2部グラフK3,3の問題

[Q]ガス・水道・電気の3種類のライフラインを3軒の家に交差しないようにつなぐことはできるか?

[A]v=6,e=9,3v=2e

また,各面は少なくとも4つの辺をもたなければならないから,

  4f≦2e

より,

  v−e+f≦2e/3−e+e/2=e/6=1.5<2

となって矛盾.

 結局,K3.3とK5を含グラフはどうやっても平面グラフにはならず,失敗に終わる運命にある(クラトウスキーの定理).

[別解]もし,K3,3が平面的であるならば,v=6,e=9.

  f=2+e−v=5

また,各面は少なくとも4つの辺をもたなければならないから,

  20=4f≦2e=18

となって矛盾.

[補]ペテルセングラフはK3,3の部分グラフを含むから,平面グラフとしては実現不可能である.

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【3】完全グラフK5の問題

 もし,K5が平面的であるならば,v=5,e=10.

  f=2+e−v=7

また,各面は少なくとも3つの辺をもたなければならないから,

  21=3f≦2e=20

となって矛盾.

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