■求積の多様性を考える(その12)

 面心立方格子や対心立方格子では,直交座標を基本としている.直交座標軸は空間中の点の位置を表すのに最も取り扱いが簡単である.しかし,3つベクトルa↑,b↑,c↑の選び方は一義的には決まらず,いろいろな選び方がある.

 そこで,3つのベクトルをそれぞれの構造の単純並進ベクトルと呼ばれるものに採ってみる.そうすると,対心立方格子ではa=b=c,α=β=γ=109.49°,面心立方格子ではa=b=c,α=β=γ=60°の菱形体格子に変換されることになる.

 cubic symmetryをなしているときはこれでいいのだが,正四面体にまつわる空間充填,一般には空間充填2(2^n−1)胞体に関する問題では直交座標軸でなく,斜交座標軸のほうが取り扱いが簡単である.

 その場合,(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)の替わりに

  (1,0,1),(1,1,0),(0,1,1)

を用いることになる.これらはノルムが等しく,互いに60°の交角をなすから,a=b=c,α=β=γ=60°の菱形体格子に変換されたことになる.

  (1,0,1),(1,1,0),(0,1,1)

は(0,0,0)を含めて立方体の頂点をひとつ置きに取ったものである.したがって,残念ながら3次元特有の構成法であって,一般の空間充填2(2^n−1)胞体では簡単な形にならないのである

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